Dream
□彼女のもしも
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相変わらずの私達。
やっと、手を繋いだりキスしたり普通の恋人同士になってきた気がする。
だけど、会えない寂しさと周りの環境がキツくて心が荒んでいた。
花火に行けば、腕を組んでイチャイチャして、海もそう。プールも。最悪な時なんてスーパーにだっている。
よく遊んでいた友人も彼氏ができたり、結婚話出たり。荒みきっていた。
「私の彼氏は、ドコに行ったのー」
なんて、独り言を言いながら待ち受けにしている彼の写真をコツコツと叩く。
ピロン♪
ナイスタイミングで、メッセージが届く。
"今度、イルミネーションあるから一緒に行かない?!良かったら彼氏も一緒に♡"
友人からの誘い。
イルミネーションなんて、カップルのいくところじゃん。
しかも、彼氏の存在は知っているが誰かなんて言ってない。というか、言えないので、友人の誘いは断りのメッセージを入れる。
「もしあの日、鍵を落とさなかったら…普通の彼氏が出来てたのかな。」
そんなこと考えちゃダメ。
だけど、ろくな男じゃなかったんだろうなぁなんて。
言いながら、また待ち受けの笑っている彼に話しかける。
「彼が有名人じゃなかったら、彼が普通の彼氏だったら。」
涙が止まらなかった。
「あの日、他に予定があるといって断ってたら。出逢わなかった。」
歳上なのに、こんな事で余裕がなくなる自分が嫌になった。
『けど、出逢ったでしょ?俺が有名にならなかったら、あのショーにも出れなかったんだよ?』
「え?!」
振り向くと、最近全く連絡もとってなかった彼がいた。
「なん……で?」
『普通の彼氏になれなくてごめん。俺のこと嫌になった?』
「いや、むしろ逆、好きだから……ぁ……」
涙が止まらなかった。もうぐちゃぐちゃになりながら、泣いた。
『良かった。俺も好きだよ。連絡もしなくてゴメン。ちあきさんのこと考えてると、逢いたくなるから……練習中とか考えないようにしてた。けど…』
彼は後ろから私をぎゅっと抱きしめた。
『逆効果だったみたい。会いに来ちゃった』
困ったように彼は言う。
「私もー」
泣きじゃくる私をただ愛しく抱きしめてくれる彼。
彼じゃなかったら
彼じゃなければ
忙しいのに、時間を、作ってくれたりしなかったんだろう。
やっぱり彼しかいなかったんだ。
もし、なんて考えるんじゃなくて今、この愛しい人を大切にしよう。
『もう少し、こうさせてて。』
「無理。」
私は、クルッと振り返り彼の胸に飛び込んだ。
「こっちがいい。」
『そういう、可愛いことしない。』
さっきまで泣いていたのに、笑顔になる。
大好きだよ。なかなか会えなくても、あなたしかいない。