Dream

□彼と彼女のデートまで
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毎日、練習に取材に忙しい。休みが取れたとしても、1日〜2日。日本に行って戻ってくるにしてもとんぼ返りなんて嫌だ。

ちあきさんを目の前にして話したい。

ちあきさんに、会いたい。


ちあきさんに、触れたい。

メッセージや時差のあるテレビ電話だけじゃもう、足りない。

付き合い初めて数カ月。きっと他のカップルだったら、何十回もデートしたり、ハグしたり、キスしたり、甘えたり、甘えられたり、それ以上の事だって………

いつも絶対間違えないステップを間違えてしまうくらい、俺は参っていた。

そんな中、俺もちあきさんも喜ぼしい仕事が入ってきた。

すぐにでも伝えたい。
だけど、驚かせよう。一週間から二週間かかるから、時を見計らって、いつもみたいに、絵はがきを買ってペンで愛情を込めて書く。

"日本での仕事が決まったよ。長くて1ヶ月は、そっちに帰れる予定。会いに行く"

エアメールを出し、彼女に、メッセージを送る。

いろいろ聞かれたけど、これはもう内緒しか言えなかった。喜ぶ顔が見たい。

早く、会いたい。それだけだった。

空き時間で、荷造りをして、トロントの街のお土産屋さんにお土産を買いに行く。

いつもポストカードを買いに行く店に、行く。

ポストカードコーナーしか見ていなかったが周りを見渡すと、可愛らしい雑貨ばかりで少々気後れした。

ぐるりとめぼしいものを探して一周すると、1匹のネコのぬいぐると目が合った。青い瞳の三毛猫のぬいぐるみ。なんだか表情がちあきさんに似ている。

本人に本人そっくりのぬいぐるみってどうなんだろ?と思ったが、そのぬいぐるみを購入した。

首元が寂しかったので、ネックレスもつけてあげようかな。

ちあきさんのイメージにぴったりのネックレスを見つけて、俺のテンションはMAXになっていたが、出発日まで、時間があった。
浮かれて練習出来ないなんて思われたくない。取材も、妙なテンションにならないように気をつけた。
だけど、練習はいつもより絶好調過ぎてハビやブライアン、他のチームのメンバーにもバレバレだったし、取材も、いつもより饒舌で所々にやけていた。

『ユヅル、恋人に会いに行くんでしょ?みんなにバレバレだよ』
ハビエルが、練習の合間に話しかけてくる。
「帰国するだけだよ。そんな、恋人なんて……」
『じゃあ、なんであんなプリティなネックレス選んでたの?』
「え?!見てたの?!」
ハビエルは、僕は知らないよというポーズでリンクに戻った。

後ろから、チームメイトが一言
『ユヅルって、恋愛にはドライに見えるけど、恋人にネックレスを選ぶなんて案外独占欲が強いのね。意外〜♪』

俺は、そんなこと知らずに買ってしまった。だけどきっとちあきさんに対して、独占欲は強いと思う。

「まあ、外れてないか。」


ピロン


ナイスタイミングで、メッセージが届く。

"え?!帰ってくるの!?いつ?!"
あわわわと焦ってるスタンプと一緒にメッセージがきた。
俺は、一言だけ


"4日後"

と返した。帰国まであと少し。また気を引き締めて、練習に励んだ。
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