Dream
□彦星と織姫
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アイスショーに向けての練習。
合間にはインタビュー、テレビ取材を答えて、写真を撮られたり忙しい毎日を送っていた。
『もうすぐ七夕だから、うちの子、保育園でこんなの作ってきて。』
休憩中にノブくんが言い出した。
スマホ撮影した、自宅に飾られた七夕飾りの写真。
「いいなー。ノブくんは、可愛い子供も奥さんもいて。俺は、忙しくてそれどころじゃない」
『そんなん、わからんやん。次のショー日程七夕やん!もしかしたら、織姫と出逢っちゃうかもしれんよ。』
「忙しくてそれどころじゃないって。」
だけど、正直、アスリートを辞めた時。人生のパートナーが欲しくなるんだろうな。と頭の片隅で考えていた。
別にすぐじゃなくていい。ただよく、ラブソングみたいな題材の曲を持って来られたりすると戸惑う事はあった。
彼女がいれば演技の幅も広がるのかな。なんて、浅はかな気持ち。
『織姫見つかるとええね。』
「だからー」
ノブくんは、立ち上がり曲をかけての練習を始めた。
織姫ねぇ。そんな簡単に見つかるわけないっての。
俺は、次のショーで。七夕で織姫に出逢う。
それはまだ、もう少し先の話。