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□魔王の子供と不幸遭遇率の関係性。
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私が一人感傷に浸っていると、川上からやけに筋肉質のおっさんが流れてきた――おっさん!?
私は慌てて立ち上がり、川岸まで走る。と、どうやら男鹿もその人に気づいたようで――片足を鷲掴んで逆さまに持ち上げた。……おっさんの背が男鹿より高いせいで、まだ頭は川の中に入ったままだが。
男鹿はずるずるとその人を引きずり、岸まで引き上げる。
そして男鹿は何を思ったか……そのおじさんを、割った。
そう、縦にぱかっと。

――いや。いやいやいやいや。

どうしてそうなるの?なんでおじさんあんな簡単に割れたの?なんでおじさんの断面光輝いてるの?なんで男鹿は動じてないの?そしてなんでおじさんの中から素っ裸の赤ん坊が出てきたの――!?

「だ、駄目だ……」

私は目を閉じた。
そうだ、もしかしたらこれはただの夢なのかもしれない!そう思って軽く手の甲をつねってみたが、普通だった。――普通に痛かった。

――この出来事を皮切りに、齢十五にして、私は今まで追い縋ってきた現実なんてものが簡単に瓦解することを理解し――同時に、加速度的に私の不運エンカウント率もありえないほど跳ね上がっていくことなど、今はまだ知らない。



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