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□だから、不可抗力なんですって!
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「な、なんだったんだ……?」
『……おーい』
「はっ!?私としたことがすっかりエンヴィーちゃんの存在を忘れていた!」
『そうだろうと思ったよ!つかなに、エンヴィーちゃんって。キモッ』
窓を閉めて振り返る。だが、先程まで彼がいた場所には何もなく。
『あんたの足元だよ!うわっ馬鹿、足動かすな!』
「おわあっ!?」
足を見ると、ぴったりと足首にしがみつくエンヴィーの姿があった。
『ねえあんた、ここどこ?
さっきまでセントラルの地下で戦ってたはずなんだけど』
「戦ってたっていうか、大佐に一方的に蹂躙されてたような気が……」
『は!?何でそんなこと知ってんだよ!!』
「何でも何も、さっきまで放送されてて……――あぁっ!?」
テレビを指差して愕然とする。
画面もフレームも、完全に壊れていることが判るくらいにバキバキに割れていたのだ。
「なんで!?もう少しで最終回だっていうのに!」
『なんのこと言ってるかさっぱりわかんないけど……ここまでマスタングはついてこないんだよね?』
「そりゃあ、まあ……多分」
ふぅ、とエンヴィーが息をついた。そういや作中で「死にたくない」と言っていたな、と思い出す。
その後エンヴィーは自ら死を選択するのだが……今はそんなことはなさそうだ。
『で、結局どこなの?』
「えっとー……何て言うか、現世?みたいな?」
『は?』
エンヴィーの声が低くなった。理解不能、というやつだろう。さて、どう説明するか……。
『……つまり、今までいた世界はこの世界で創られた虚構で、あんたらはそれを見て楽しんでたって訳だ』
「おっしゃる通りでございます……。
さしあたり、エンヴィーさんを元の世界に返す方法も解らず」
『エンヴィー様、ね』
「アッ、ハイ」