他メンバー

□夏の秘密
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「予行演習…??」

翌日、言われた通りに通常より1時間程早く登校したら、すでにチャニョルは体育館で俺を待っていた。
俺が挨拶もそこそこに昨日の話の説明を求めると、チャニョルはたどたどしく話し始めた———

「うん…今度の合コンまでに女の子に慣れるために、ベッキョンに…お、女の子役してもらって予行演習したいねん…」

「は…?」
俺が女の子役??
こっちは頭の中がまだ整理出来てないのに、チャニョルは話を続ける。

「デートしてる設定で、こう…話したりとかして…」

心なしか顔をほんのり赤らめて目を伏せ、口元にはわずかに笑みを浮かべるチャニョル…って、なんで、ちょっと嬉しそうやねん!!

「いやいやいや、チャニョル!俺、男やからっ!!俺とやっても予行演習になんかならんやろ?それやったら、誰かクラスの女子にでも頼んでさぁ…」

「ベッキョナ」
さっきまでと違う少し強い声色で呼ばれた気がして一瞬ドキっとする。チャニョルの表情は顔を俯けていて見えない。

「…僕、女の子苦手やから、それは出来へんよ…だから、ベッキョンに頼んでるんやんか…」
言い終わって、そこで漸くチャニョルは顔を上げた。
そこには潤んだ大きいクリックリッの目がふたつ。なんなんその目ぇ…そんな目で見られて俺が断れると思うん…?無理やん。これ拒める奴とかおんの…?

「お願い出来へんかな…?」

そこにダメ押しの一言。
…俺は完全に陥落した。半ばヤケクソで承諾する。

「…わかった、わかったっ!やるやるっ!やったらええんやろ!」

「ありがとう…ベッキョナ」

チャニョルは満面を綻ばせ、じゃあこっち来てと、俺の手を引いてどこかへ連れて行く。
はぁ…俺、結局こいつに弱いねよなぁ…今まで頼まれて断れた試しないんちゃう……?

俺はまだこの時、チャニョルの言う予行演習とやらの意味をわかってなかった。
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