KING RUMOR
□2 another face
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「景吾!」
氷帝テニス部員を見送ってきた聖梨奈が跡部に耳打ちする。
「ねえ、早く部屋に行きましょう?いいものがあるの」
「参加者の見送りが済んだらな」
「・・・もう。いいわ。バーにいるから終わったら迎えに来て」
聖梨奈の後ろ姿を見て跡部はため息をつく。
「面倒なことになりそうな予感がするぜ」
最上階、バーラウンジ。東京の夜景を見下ろしながら、聖梨奈は何やら外国人男性と楽しそうに話している。
「Keigo! it`s too late. hey guys. sorry,my boyfriend is now coming. have a good night」
「・・・お前また飲んでたのか」
「そんな顔しないでよ。あなたも飲むでしょ?またあのゲームしましょうよ。いいベルモットを持ってきたの。
すみません、さっきのあれ、もう1セットいただけますか?」
二人の目の前に現れたのは三つのグラス。透明な液体が少量入っているが、バーカウンターの暗い照明ではすべて同じものに見える。
「さあ、この中でマティーニはどれでしょう?ちなみに他の二つはラムとテキーラね。あ、ウォッカだった?まあ、なんでもいいわ」
「聖梨奈」
「どうしたの景吾、去年イギリスで遊んだ時とは違うのね。レオンもミシェルも驚くわ」
「こんなことをするために日本に来たんじゃないだろう」
「さあね。飲まないなら私が全部飲むわよ?」
聖梨奈はグラスの一つを一気に飲み干した。
「バカ、お前・・・!」
「ね、たまにはいいでしょ?あそぼ?」
ため息をつく跡部を見て、聖梨奈は二つ目のグラスに手をかける。
跡部はそのグラスを奪い取り、中身を口に含む。
「・・・・・いい子」
聖梨奈はにやりと笑い、自分が飲んでいたカクテルを口に含む。跡部が飲み込まないうちにキスをして、お互いの口の中の液体を混ぜてしまう。
唇を離し、聖梨奈は跡部の唇に残った液体を舐めとり、顎についたものを指でぬぐう。
跡部は続けて三つ目のグラスも飲んだ。
同じようにキスをして、味が混ざる。
「どう?久しぶりのお酒の味は」
「最初に飲んだのがラム、最後に飲んだのがマティーニだ」
そう言って跡部は聖梨奈の首に手を回し、引き寄せて
もう一度キスをした。
まるで外国の映画の中の恋人同士のように、啄ばむようなキス
一瞬跡部の下が聖梨奈の口内に入り、跡部は唇を離した。
「・・・お前が飲んだのはウォッカだ」
互いの額をつけたまま囁いた。