KING RUMOR
□10 see you joker
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その日の夕方、氷帝学園の最寄駅。
向日「じゃな侑士、おつかれ〜」
忍足「おお、おつかれさん」
二人とも、今日も練習お疲れ様。
忍足「・・・・ん?聖梨奈ちゃんや」
聖梨奈はあたりをキョロキョロ見渡しながらうろついていた。
忍足「聖梨奈ちゃん」
「・・・あぁ、侑士くん。びっくりした」
「・・・なんや自分、泣いとったんか?」
「ううん、なんでもないの。ごめん、これから撮影なんだ。またね」
聖梨奈はタクシーを止めて乗り込んだ。
「跡部も世話がやけるこっちゃ。
聖梨奈ちゃんもあんな腫れた目で撮影なんて、大丈夫やろか」
聖梨奈が向かったのは都内のスタジオ。
ロコハートの冬の新作のCM撮影が行われる。もちろんキミ様も一緒。
コンビニで保冷剤を買って、目を冷やしながらの出勤なんてやめてよね。
今回からスタイリストに新しい人が来たらしく、挨拶にやってきた。
「一条さん、初めまして。今回からスタイリストは私になります。よろしくね」
「初めまして。一条聖梨奈です。よろしくお願いします」
「メイズの広告見たよ。ずいぶんスピード出世だね。」
「・・・はい、貴重な経験をさせていただきました」
「そうだね。あれが最初で最後だったと思っていいと思うよ。
もともとコネでつかんだチャンスなんだ。
幼少期からロコハートという有名ブランドのモデルをしているのに、他の仕事がほとんど来ない理由、自分でわかってるよね?」
「・・・コネ?なんの話ですか?」
「何も知らないんだね。情報も欲もないようじゃモデルはやっていけないよ。もうすぐ高校生でしょう。
今がやめ時だと思うよ。目を腫らして仕事に来る時点でプロ失格。
考えてみてね。」
「・・・・・」
あーあ。一条聖梨奈も所詮は井の中の蛙だったってわけ?
君島「聖梨奈さん」
「あぁ、育斗くん。今日もよろしくね」
「よろしくお願いします。あのスタイリストさん、厳しくて有名な人ですよね。
何か言われませんでしたか?」
「・・・実は、メイズの広告が、コネだって言われたんだけど・・・
ロコハートが出店しているデパートだから、私が選ばれたってことかしら」
「ああ、それは跡部くんの仕業という意味ですよ。
跡部くんがメイズにあなたを売り込んだのです。知らなかったんですね」
「・・・・・・嘘、景吾が?なんで・・・?」