ただキミといたいだけ
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何日か過ぎて、いつもの朝。
今日は休講で1日ゆっくりできる。
おかわりのご飯を烈火に渡し、テーブルの所に座る。
あの日から紅麗から音沙汰は無い。
近いうちっていつなんだろう…
小さく溜息を吐いて、TVに流れる朝のニュースを見る。
『人としてごく当然のことをしたまでです。何より息子、紅麗の協力があっての事と…』
「え…」
聞き間違いだろうか。
TVをもう一度ちゃんと見ると、そこにはサングラスとガーゼで顔の火傷を隠す紅麗の姿があって。
「なんだぁ、姉ちゃん!この男がタイプかあ?」
「うるさい、早よ学校行け」
烈火を家から追い出すように蹴り飛ばす。
TVに戻るが、もう紅麗は映っていなくて。
テーブルの片付けをし、チラチラとTVを見てしまう。
またTVに映らないだろうか、と。
「名無し、ちょっといいか?」
「ん?なーに?」
茂男が居間から呼ぶ。
暖簾を分けて、テーブルを挟んで茂男の前に座る。
「烈火のことだが…」
この間、ある女が烈火にあなたの身内と言ってきた、と。
名無しは目を見開く。
「俺たちが出会った時の事を覚えてるか?」
「っ、もちろんです…」
あの穴に吸い込まれて、気がついたら土砂降りの中、烈火を抱いて電柱の前にいた。
盛大に泣きわめく烈火にどうしていいかわからないでいると、そこにたまたま通りがかった茂男に拾われたのだ。
「お前は賢い…思い当たる節はないか?」
きっと陽炎だろう。
この時代まで、陽炎も流れてきたのだろうか。
だとしたら、、