飛花落葉
□相談、雑談
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「すまないな、呼び出したりして」
書斎に呼ばれた鶴丸はなかなか入ることの無い誉の書斎に興味を持ち入ってくるなり本棚や羅針盤などを弄り始めた。
「どうだ。一期の様子は」
平野は相変わらずのようで、一期と仲の良い鶴丸に度々様子を聞いていたのだ。
鶴丸は無造作においてあった羽根ペンを引っ張りながら口を開いた。
「特に変わりは無いさ。平野がああしたいのならそれでいい、と」
代わり映えのしない報告にため息をついて、首を鳴らしながら誉は愚痴をこぼし始めた。
「この前、薬研と前田が来たよ」
「ははっ、流石だな。気づいて言いに来たか?」
「前田は平野と一緒にいることが多いし、薬研はしっかりしてるからな。心配なんだろう」
「それで?なんて言ったんだ?」
「時間がなんとかしてくれる。としか言えなかったな」
「君は短刀にそんな無責任な事を言ったのか」
「仕方ないだろ。平野と話してみても無理だったんだから」
困った様子の誉を面白がる鶴丸。あまり真面目にならないからこそ一期のことを頼んで正解だったなと誉は自覚する。
「そんな君だから今の状態が保たれているんだろうな」
「…驚いたか?」
「おいおい、それは俺の台詞だろ?」
書斎から漏れる笑い声に大倶利伽羅が聞き耳を立てているとは気づかない2人なのであった。