短編集
□好きの理由
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「君って僕の事本当に好きなの?」
「どうしたんですか急に」
「別に」
「好き、ですよ」
「どこが?」
「え?」
「どこが好きなの」
「うーん...顔?」
「は?」
「だけでは無いですけどね。どこが好きなのかは具体的には私にもわかってなかったり...でも意識したのは10年後のあなたに会ってからです」
「君の方が先に10年後に行ったんだったね。未来の僕が君に何をしたの?」
「口調とか対応とかが優しくて。優しすぎていて。ギャップっていうんですかね。尊敬がいつの間にか恋心になっていたというか...」
話していて照れくさくなったのか言葉を濁す。
「今の君を見ていると昔の君の荒さがよく分かるよ」
「私、そんなにグレてましたか?」
「他人に興味が無いというか、自分にも世界にも興味が無いようなそんな感じだったかな。道に死体が転がっていようが平然とその上を歩けるような。昔はそんな感じだったよ」
「いや、流石にそこまでは...」
「そう僕が感じていただけ。今はそうだね、頑張って改心している途中、って所かな」
「雲雀さんのそのアンニュイな感じ。嫌いじゃないです」
「その生意気さは最初と変わってない」