短編集

□雲雀誕生日
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「え、来週雲雀さんの誕生日なの?」

屋上で話しているのは在眞と雲雀の頭にいつも乗っているヒバード。餌をついばんでいるようにしか見えないヒバードは雲雀の誕生日を在眞に伝えている。

「誕生日かぁ」

気にさわらない程度になにか贈り物をしたいと考える在眞。その在眞の手の上に乗ってきたヒバードに目を丸くする。

「手紙?」

ヒバードは在眞を介して雲雀に感謝の思いを伝えたいらしい。少し悩んでいいよ、と頷いた在眞はヒバードの気持ちを手紙に綴った。

「ほら帽子」

先にボンボンがついた円錐の帽子を被せる。ヒバードは小さい箱の中に入ってその上に手紙を乗せる。手紙を読んでいる雲雀をびっくりさせる作戦なのだとヒバードは飛びまわる。
暫くして空になった応接室に雲雀が入ってくる。もちろん机の上の箱と手紙に気づいたようだ。椅子に座ってほおずえをつきながら手紙を開く。

「ヒバリ、オメデト。オメデト」

勢いよく飛び出したヒバードに微塵も驚かない雲雀。手紙に目を通す様子はいつもとそんなに変わらない。

" ひばり、おめでとう。だいすき

ヒバードより"

「これは、何?」

扉の陰に隠れていた在眞に向かって声をかける。バレた在眞渋々雲雀の前に姿を現す。

「どうしても伝えたいみたいだったので。嫌なんて言わないであげてくださいね」

「…」

明らかな無言。何を考えているかなんて分からない在眞は家庭科室の冷蔵庫から持ってきた物を雲雀に渡した。

「次は何?」

「私からです」

開ければそれは大きなのバースデーケーキ。すぐ食べれるようにフォークを付けてあるそれに雲雀は手をつける。

「今、食べるんですか?」

「そのために持ってきたんじゃないの?」

「は、はい、お茶入れますね」

毎回、在眞が持ってくるといえば甘い菓子。今回もやはりそれだったが、雲雀は在眞の前では要らないなんて一言も口にしなかった。

「美味しいですか?」

「…それなり」

在眞が煎れたお茶で流し込む。
雲雀の食べる姿を嬉しそうに見る在眞の背中を見て深いため息をつく雲雀だった。
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