鬼灯夢

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「鬼灯様!」
一般獄卒が鬼灯に声をかけた

「どうしました?『鬼伏』が来るのはまだ先でしょう?」

「いえ...それがもう三途の川へ来ており、あの周りの獄卒を切り伏せているようです!」

「速攻私を案内しなさい!」
背後に阿修羅が見える。後にその獄卒は語った

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「私の名前は鬼伏麻耶!これ以上近づいてきたら容赦しないわ!」
刀を持つ手を震わせ、肩で息をする少女が中央に立っていた

「あなたが鬼伏家の...貴女は特別コースです!その列から外れこちらへ大人しく来てください!」
鬼灯は珍しく穏便にすまそうと声を張り上げる

「大人しくする訳ないじゃないですかぁ!怖いもの!」
鬼灯はため息。暴力ならちょっとの時間で片付くのに...と

そこで鬼灯ある事に気がつく。

「何故あなたが宝刀『霧伏』を持っているのですか!一緒に埋葬しないルールでしょう!」

「私が鬼伏家最期の当主だからです!もう放っておいてください!」

チッと舌打ち。女性が当主と聞いた時点で嫌な予感がしていたのだ

「いい加減にしないと!その口にナットとボルトぶち込みますよ!」
穏便に済ますのは辞めたようだ

鬼灯は岩や金属を少女に投げつける
しかし、少女もタダではやられない

鬼灯が投げつける金属を刀の鞘で叩き落としている

その姿に歓声が上がる

そして、遂に鬼灯本人が少女に近づいた
鳴り響く金属音。鬼神VS鬼退治家系
戦いは互角。しかし、そこは場数の差。鬼神鬼灯が多少上回る


「なぜ貴女は鞘を抜かないのです?」
立ち回りの中で鬼灯が聞く

「...っく!」
第一不可解な点が多い。この少女が当主なのも鞘から刀を抜かず戦うことも、獄卒達が全員峰打ち程度な事も。

「貴女は人を傷つけることを避けているように見えます!そして、最期の当主。話が聞きたい!大人しくしてください!」
手が震え、涙を流しながら自分に立ち向かう少女。次第に息が切れ、太刀筋に歪みが見えた。

すると鬼灯は金棒をその場に置いた。
そして、座り込む

「貴女はもう限界でしょう。しかし、こちらも仕事。出来るだけ手荒な真似は避けたい。そちらから手荒な事してください。」
まさかの発言。麻耶も太刀筋を止めた。

「そんなのできないよ...!」
少女は動きを止めた。少女から刀が離れる
鬼灯は素早く刀を拾い上げ刀身を確認した。

「宝刀にヒビが...一体全体『鬼伏』に何があったんですか」
うなだれる少女が答えることはなかった。
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