・kurobasu
□可愛いのはどっち?
1ページ/1ページ
「室ちんってさ〜、可愛いよね〜。」
突如アツシの口から出た言葉に、オレは首を傾げた。
「可愛い??」
「うん〜。ほら今も、子供みたいな顔してるもん。」
そんなことを言ったら、いつも子供のようにお菓子を頬張るアツシはどうなるのか。
「お祭り、そんなに楽しい?」
「ああ、とっても。」
今日オレ達は、地元の秋祭りに来ていた。
賑やかでとても楽しいが、それはアツシも一緒のはずだ。
左手にはわたあめ、右手にはリンゴ飴、腕には射的でgetしたお菓子の袋がかかっている。
…アツシの方がよっぽど楽しんでいると思うんだが。
「アツシ。」
「んー?」
「アツシの方が可愛いだよ。」
「え〜、そんなことないし〜。」
ちょっと不満げに言うアツシ。わふっ、とわたあめを食べるその姿はとてもcuteだ。2mの大男が、小動物に見える。
「そんなことあるさ。可愛いって言われるの、嫌いなのか?」
「んー、嫌いってわけじゃないけど〜。」
「うん?」
「俺さ〜、背が高いでしょ〜?」
「ああ、そうだね。」
「だから、怖いって言われたことはあるけど、可愛いって言われたことは無いから、違和感があるんだよね〜。」
そういうアツシの頬は、少し赤い。
…それってつまり。
「可愛いって言われ慣れてなくて、照れてるってことかい?」
「はぁ〜?違うし…っ!」
相変わらずアツシの横顔は照れている。
ああ、やっぱり。
「うん、アツシの方が絶対可愛い。」