・haikyu-!!

□初恋ソーダ
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side木兎

恋ってやつは、

もっと、こう、
あめ玉みたいに甘いものだと思ってた。


だが、それはどうやら違うらしい。




「あーかーあーしー!!!」

「はいはいなんですか。」

「帰ろーぜ!!」


自主練のあと、他の部員はみんな帰って2人きりの部室。
赤葦は、もうちょっと待ってくださいね、と返して、部誌の続きを書き進めている。

そのシャーペンを握る手を見つめながら、

きれいな手だな、

と心の中で呟いた。

いつだって、オレのわがままを聞いてくれる、本当に出来すぎた後輩だ。

でも、たまに見せる、ポーカーフェイスが崩れる時。
数少ない表情が、可愛いと思えるようになったのは、いつ頃からだったろうか。


そんなことをぼんやりと考えていると、終わりましたよ、と部誌を閉じ、オレの方を向いてふと頬を緩めて

「帰りましょうか。お待たせしました、木兎さん。」

なんて言ってきやがる。


だーかーらー、そういうところが、可愛いんだってば!!!!!

「…?どうかしましたか、木兎さん。」

「なにも…ない、です、……」

「はあ…。」


そういう顔、オレだけに見せてほしーなぁーなんて、
言えたら楽なのに。

あめ玉みたいに甘いと思っていた恋は

実際は全く違っていて、

言いたいことが言えないこんな気持ちは
知りたくなかったのに、

でも、

(もっと知りたい、とか)

訳が分からない。

苦しいような、 そうじゃない、ような……


「だーーー!!」

「!?」




ごちゃごちゃ色々考えることは、ニガテなんだ。
だからオレは、この気持ちいつかお前に届けるよ。
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