青紫ちゃん【獄変】
□見習いの囮役
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その日の午後。
谷裂さんと一緒に肋角さんのところへ呼ばれた。てっきり食堂の壁の事をだと思ったけれど、意外にも全く違う内容だった。
「今回は、谷裂、霞月の二人で亡者の退治の任務に行ってもらう」
「はい」
「ほ、本当ですか!?」
驚いて声をあげる。何故なら自分は、見習いに落とされて以来、ほぼ皆無と言っていいほど任務に行っていない。
任務に行く時は、大概持ち前の勘を利用した何かを探す事だけしかしていない。
亡者関連は、5年ぶりになる。
「ああ、今回の亡者は厄介な事に実体を持たない奴で、他の人間に取り憑いて悪さをするらしい。
そして、他にも別の獄卒が一人で行った所取り憑かれたまま帰って来て大惨事になった」
ああ、つまり……
「ここの中で一番弱い自分を囮として使い、取り憑いた所を谷裂さんに倒してもらうと……」
「ああ、そういう事だ」
まあ、そうだろう。雑魚ぐらいしか倒せない自分がそんなに本格的なものに連れて行かれるはずがない。
「任務自体は夜だ。許されざる者には罰を。獄卒の名にかけてな」
「「はい」」
久々に聞いた、肋角さんの決め台詞。
谷裂さんから何か打ち合わせみたいなものをされるかな?と思ったけれど、そのまま解散したので部屋で平腹さんと、通信ゲームをする事にした。