夢追い人【進撃】

□1話
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「ーーおい貴様!貴様は何者だ!! 」
「シガンシナ区出身アルミン・アルレルトです!!」

「バカみたいな名前だなぁ!親が付けたのか!」
「祖父がつけてくれました!!」


兵士になるための最初の通過儀礼。それまでの自分を否定して、まっさらな自分になり兵士に適した人材になる為にキース・シャーディス教官からありがたい(普通に厳しい)お言葉を貰う事。

……正直、ここで挫折する気なんてさらさら無いけど洗礼を受けたくないなぁと思う私がいる。
隣のアルミンアルレルトくん?がたった今洗礼を受けているけれど、名前をバカにされたりするのは嫌だ。私だったら親や育ててくれた人から貰ったものをバカにされちゃうのは腹がたつわけだし。

「アルレルト!何をしにここに来た!」
「人類の役に立つ為です!」

「そうか!貴様には巨人の餌になって貰おう!」

そうならない為にここに来たのに!なんて思ってしまうけど、通過儀礼なんだ。しょうがない。あと、ポロリとでも口から出てしまえば泣きを見るのは私になるだろう。

「三列目!後ろを向け!」

なんて弱気な事を考えていれば隣の洗礼が終わり、教官がこちらを見た。
めちゃくちゃ目が合う。私と目を合わせたまま私の眼の前まで近づいてくる教官に恐ろしさを感じざるおえない。


「貴様は何者だ!!」
右の拳を左胸に当て、左腕は後ろに。心臓を兵として公に捧げるポーズをとってできる限り声を張り上げようと強く息を吸う。


「次!貴様は何者だ!」
「ト、トロスト区出身!トーマス・ワグナーです!」
「声が小さい!」

喉を震わせる寸前まで来ていた空気は、私の口から空気のままに出て行った。ちょっと噎せそうになった。
私の顔には全力のなんで!?が貼り付けられている事だろう。
そのまま教官は五列目に立つ人を見やって無視し、そのさらに隣を見て問いかけてた。


気になって、無視された人をよくよく見てみればこれは顔つきと言うんだっけか、纏う雰囲気が周りとほんのり違う。ような。



ーー修羅場をくぐり抜けた者に通過儀礼は必要ない。


ふと、どこかで聞いた噂が頭の隅を掠めた気がした。


……まさか、ね?
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