夢追い人【進撃】

□2話
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ーーそして、寮にて。


「うぅー私、体力ないから自信ないんだよなぁ」
「あぁ……俺は座学だな。バカだし」

コニーと深いため息を吐きながら言い合う。

「座学ならいいじゃん。実践には関係ないし、誰かに教えてもらえるよ」

「んでも、バカすぎて俺よく匙投げられるんだわ」

「私が教えられたら良いんだけどさ。教えるのは苦手で……ごめん」

「気にすんな。俺もお前に何か教えられる事ねぇと思うし」

「うん……」

息を大きく吸って、はぁ、と声を同時にもらす私とコニー。
コニーとはなんだか仲良くなれそうだ。


「……なあ、ニーニャ、だったか?聞きたいことがあるんだが」

金髪でガタイが良くて、大きな怖い顔の人。ライナーが難しい顔で目の前にいる。

「え?あ、うん。いいけど」




「お前の性別は女……であってるんだよな?」




「……失礼な!れっきとした女子だよ!男の子に見えるの!? 」

全く、なんて事を聞くんだライナーってやつは!
可愛い顔をしてるとまでは言えないかもしれないし、身体も貧相な自覚あるけれど!

「いや、見えない」

私の怒りと心中など知らず、相変わらず難しい表情で即答するライナー。
しかも見えないだったらなんで一層そんな事を聞くのか分からない。

「見えないが……だったらなんでお前は男子寮にいるんだ」


「え、迷子」

だって初日だし。うろうろしてたら男子寮を見つけたので入った所存だ。

寮内は困惑してしまうだろうけど、まあ最悪一晩泊めてもらうだけだ。あわよくば女子寮まで連れて貰おうって思ってた。
そして誰もつっこまないので泊まる気満々でした。

「お前、迷子って……」
「嘘だろ……」
「冗談キツイぞ」

ライナーと外野には悪いけど、迷子だし嘘じゃないし冗談じゃないし。
困惑されるし呆れられてるしコニーは隣で「女装男子だと思ってて喋ってたぞ」なんて言ってる。

でも迷子なんだから仕方ない。諦める。

そしてできるなら、女子寮がわかる人は私を案内してくれもいいのに。

「ま、宿舎の場所分かんないから一日よろしくー」なんて言いながら手を振るとジャンから「ざけんな男女!!」との声が飛んできた。
「なんだと!」と怒鳴ったところでちょうど扉が開き、教官かと思ったのか辺りはサッと静かになって全員が扉の先を見た。



「あれ、みんな何かあっ……

……ニーニャ、君は女装男子だったんだね」

「ただの迷子の女の子です」

入って来たのはマルコだった。
賢そうだと偏見を持っていたけれど、案外中身はコニーと同じなのか貴方も。

「迷子って……」

なんだ冷めきった信じてないその目線は。

「本当ですー!女子寮の場所探してたら男子寮に迷い込んだんですー!! 」

今度は可哀想……と言う目をされた。だからそんな目線を向けないで!

元はと言えば誰も女子寮の場所知らないから悪いんだろ!誰か教えてくれればいいのに!って何回も思ってる!

「……僕でよければ、寮まで送るよ」

そんな願いが通じたのかどうなのかは知らないけれど、頭を抱えたマルコが静かに申し出てくれた。
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