夢追い人【進撃】

□2話
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「ともかくまあそんな感じで巨人みたいに怖いとこもあったけど、いい母さんだったよ」

「そっか」


「……ねえ、女子寮まであとどれくらいかな」


こういう時は秘技、話題逸らし。
効くかどうかは五分五分だったけど、マルコは怪訝な顔一つせず考えるようなそぶりを見せているので成功してんだろう。うん。

「あ、もう見えたよ」

「そっか。今度はちゃんと覚えなきゃね」



「ん?」「あ」

「え」
「ユミルとクリスタ……と、サシャ?」

三人と遭遇。なぜ
……あ、サシャはきっと今まで走らせていたんだ。それで、ユミルとクリスタは回収しに出向かってその帰り、みたいな。
そういえば水とか残しとこうと思ってたけど結局忘れてた。ごめんねサシャ。



ユミルは私とマルコを交互に見たあと、ニヤリと笑って

「うっわ!素朴装ってお前ら揃って初日からやらしー」

「は!?」
「なっ……! 」

「ユミル!?」

と、なんとも恥ずかしい誤解をふっかけて来た。そしてクリスタの顔が少し赤くなる。


「ち、違う!ユミル誤解だよ!!私が迷子になってからマルコが送ってくれただけだよ!!」

両手を左右に全力を使って振りながら弁解をする。
さっきの今でこれはかなり恥ずかしいんだ!!恥ずかしい恥ずかしい!!

私の顔も熱くなりそう……!

ユミルの方を瞬き一つせず見つめ続けてると、ユミルは私ではなくマルコの方を向いた。

「なあ彼氏さんの方よ、彼女はこう言ってるぞ?」

「彼氏じゃない!」
「彼女でもない!」

「ユミル!二人とも違うって言ってるんだからやめなよ……! 」

マルコと私が叫ぶように言ったのはほぼ同時。
クリスタがすぐ後にそう言った。クリスタはこちらを援護してくれるんだ。優しい……


「……貴方たち何をやっているの」

唐突に女子寮の扉が開かれ、出来たのはミカサ。表情はどこかお怒り気味。
それもそうか。こんな夜中に大騒ぎ。……ユミルのせいだけど。

数秒沈黙した後にユミルが舌打ちをして
「なんもねえよ」と言ってミカサを押し退け先に宿所に戻っていく。クリスタが後に続く。ミカサはこちらを見ている。

「案内ありがとね!また明日! 」
「うん。おやすみ」

挨拶だけして私も宿舎に戻る。ミカサは私が宿舎に入るまで扉の前に居続け、入った後は何事もなかったかのように自分の寝床に戻っていった。


ーー母さんと父さんの先祖はとても特別な人だったのよ。覚えていて。


なんてことも、言われた事があったっけ。

……ま、どうでもいっか


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