夢追い人【進撃】

□4話
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「……あ、好みっていえばさ、異性の好み! 」
「異性の?」

どこら辺に関連した要素があったのかは知らないけど、ニーニャは何の前ぶりもなくそんな事を言い出す。

「男子の方ではそういう話しない? 」

「結構してると思うよ。話に加わったことはないけど」

「えー……」

半分ワザと混じりで不満げな顔をされる

いつものことだし特に気にせずに「そんなに不満?」と聞けば
「そりゃ不満だよー。昨日は男子の方の好みはどんなのかって話も出てたんだからね」

と言って不満顔を深める。
そんなにころころと表情を変えて、表情筋が疲れたりしないんだろうか。

「……じゃあマルコの好みでいいや」

「いいやって、他に言い方あるだろ」

妥協、という風に言ってても興味津々だと顔に出てる。本当に分かりやすいなあ。

「なんでもいいんだよ?ジャンみたいにとても綺麗な黒髪が好きーとか」

「黒髪か……」

目の前にいる好きな人の、綺麗に結ばれた黒い三つ編みは、まあ


「確かに、嫌いではないかな」
「!」

照れ臭さもあって、視線を逸らしてから肯定する。
ニーニャはびっくりしたのか椅子の上に飛び乗って目を丸くしている。

……自分で聞いたくせに。

「そんな大袈裟に驚かなくたっていいじゃないか」

「え、あ、うん、うん。
……もしかしてなんだけどさ」

「うん?」

真剣な眼差しでこっちを見つめるニーニャ。
聞きたいことは何となく予想がつく。

もし予想通りの質問をされたら。
いっそ、言ってしまってもいいかもしれない

そんな僕の思いなど露知らず、ニーニャはふ、と力を抜いて

「やっぱいいや! 」

と、誤魔化すように笑った。
笑うその表情はどこかショックを受けたように僕には見えた。けど、本人が言わないのなら僕に聞く資格はない。


そこでちょうど、夕食の鐘が鳴り始めた。

「うそ!?もうそんな時間!? 」
「ほんとだ。はやく戻らないと教官にどやされそうだね。行こう!」

慌ただしく本をしまって、書庫を飛び出す。
飛び出したのは同時だったのに、後ろを走り始めるニーニャに走る速度を緩めて隣を走らせてもらう。


……つい知らないふりをしたけどね、



“星が綺麗ですね”
僕もその本、読んだことがあるんだよ。



ーーsideマルコ


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