夢追い人【進撃】
□5話
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「だから、大事なのはいかに丁寧に撃つ事が出来るか、だよ。
いくら照準を合わせていたって適当に撃ってしまえばその衝撃で照準はずれ、結果的には的を外してしまうことになるの」
「うんん……もっかい、もっと分かりやすく言ってくれ」
年に数回しか実施されない射撃訓練。
その年に数回は結構成績に関わるとかなんとか噂がたっていて、いつも以上にみんな真面目にやってる。
ちなみに私は射撃訓練の成績は妙に良くてエレン達、主にコニーに指導を少しだけしてる。
「ってかよ、オレ感覚派だから?天才的な感覚派だからよ、もう一回撃つとこ見せてくれよ!もうちょいで掴めそうなんだって」
「それ、もう何回言ってるの。感覚派も程々に……エレン達は言葉で理解してもうあっちで撃つ練習してるんだよ?」
あっち、と言ってもすぐ近くの射撃スペースで自分の的を必死で狙ってるところだけど。自分の名前が出た事が気になったのか一瞬だけエレンはこっちを見て、でもすぐに自分の狙う的に視線を戻す。
そんな事など全然気付かず、コニーは神様にでもやるように両手のひらを大きな音を立てながら合わせて「もう一度撃ってくれ」と必死で私に頼み込む。
「あと一回!一回でいい!」
私が意外と押しに弱いって事を知ってるんじゃないかってくらいコニーがしつこい。
そんな事には負けない。
「なあ!この通り!!」
負けない、といつも思うのだけれど
「……本当の本当に、一回だからね?」
「お!頼むぜ!」
結局、根負けして、また押しに弱い所を見せてしまった。
人間そうそう変われたりしなんだから仕方ない。と、自分で自分を慰めるしかない。
「……」
的は、まあ裸眼で生活できる人なら余裕で見えるくらいの所にある。
正面から姿勢をとって、狙うのは真ん中ただ一つ。
こんなのは余裕だ。
集中して狙いを定めてトリガーを引く。
乾いた軽い発砲音がしたあと、的を見れば
「はい、ちゃんと撃ったでしょ?」