夢追い人【進撃】
□6話
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そろそろ、決めるべきだよね……いや、でももう少し後でも……
人知れず、考え事をしながらぼんやりとマルコの方を見つめる。
今は夕食中で、向かい側ではアルミンが“なぜ内地に行く為に立体機動の技術を高めるのか”について話していて、私が見つめる人の隣ではジャンが自慢げにガスの消費を抑えるコツを語っている。
「まぁ、誰にでも出来るもんじゃねえだろうなあ」
周りからの賛賞の声に持ち上げられたのか、そう言いながらジャンのことなど一目も見ずに食事をしているミカサを見る。
そして、ミカサの隣でジャン達の方を見ていた私と目が合う。
なんか気にくわないので舌をベ、と出して煽ってから目を逸らしてやった。
ジャンは一瞬だけ不満そうな声を出したけど、自分のテーブルの方に向き直ってまた自慢話を再開する。
「覚えておいて損はないぜ?憲兵団に入りたいならな」
そんなことを言うジャンを、いわゆる尊敬の眼差し?というやつで見つめていたマルコが正面に向き直って憲兵になる時の自分に思いを馳せる。
そういえばマルコも憲兵団志望だったっけ。
「ああ、入れたらいいな……王の近くでの仕事なんて、こんな光栄なことはない」
どこかのキルシュタインとは大違いのとても純粋な理由で憲兵を目指すというのをジャンは信じてないのか、マルコの背を叩いて悪人のような笑みを浮かべながらマルコに話しかけた。
「おいマルコ!お利口振らないで言えよ、本音を。
憲兵団に入るのは内地での安全で快適な暮らしが待ってるからだろうが」
さすがジャン。ゲスだ。
「そんな!少なくとも僕は」
「内地が快適?」
二人の会話を遮ってエレンが口を出す。エレンもどこからか知らないけど聞いてたらしい。