夢追い人【進撃】

□7話
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「おめでとうマルコ!!」
乾杯、とコップを合わせながら祝う。

訓練兵卒業祝いの打ち上げ。あちらでもこちらでも歓喜の声が多く飛びかっている。
真っ先に言いに行きたくてマルコを探しに行くと、珍しく隣にはジャンがいなかった。別に気にならないけど。

「ありがとう。ニーニャ」

「これでマルコは晴れて憲兵団かー……」

もうなかなか会えないのか。正直、寂しくなる。
けれど、大切な人の夢が叶うのに悲しいとか寂しいとかは思っても口に出さない。顔にも出さないように徹底して笑う。


「 そういえばニーニャは何処に入団希望だっけ?」
「ん?聞いたことなかったっけ?」

ふと聞かれて、思い返してみるけれど私自身があんまり人から聞かれた記憶がないような。
いや、むしろ聞かれた事なかったような。

いらぬところで変にショックを受けた。

「ま、いいや。私が入りたいのは」

「ーー勝てるわけない!!」

いきなり声を荒げたトーマスに思わず目が向く。
周りも驚いたのか静かになっていた。

「お前だって知ってるよな?今まで何万人食われたか。
人口の2割以上を失って答えは出たんだ。

人類は、巨人に勝てない」

トーマスの目線の先にはエレン。憲兵団を蹴って調査兵団に死に急ぐというのは、普通だったら考えられないし、そういう事だろう。
憲兵団志望じゃない私でも、勿体無いなとは思うから。

「それで……勝てないと思うから諦めるのか?」

エレンの言葉に、俯いてたトーマス達が顔をあげた。エレンに言い返せる言葉がうまく見つからず口篭ってるらしい。

「その」
「確かにここまで人類は敗北してきた」

エレンは、聞かずに続きを話し始めた。

「それは巨人に対して無知だったからだ。巨人に対して物量戦は意味がない。
負けはしたが、戦いで得た情報は確実に次に繋がる!

俺たちは、何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか?

冗談だろ?!
俺は!巨人を一匹残らず駆逐して、狭い壁の中から出る!それが俺の夢だ。

人類は、まだ本当に敗北したわけじゃない!」


静まり帰った中で、涙目になりつつも言い切ったエレンはそのまま外に飛び出した。それを追いかけて、アルミンとミカサも外に出る。

「……名演説?だったね」

試しに呟いてみるものの、完全にもうそんな雰囲気じゃない。完全にお開きだ。

どうにも居心地が悪いので、私は一人で宿舎に帰ることにした。

……どうにか覚悟を決めとかないと。
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