夢追い人【進撃】
□9話
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頭の奥で、何か音が鳴っている。
起床時間になる鐘の音だ。
のそり、とゆっくり起き上がってのびをする。
体も頭もすごく眠たい。
と思いつつも髪の毛を整えるのには時間がかかるし少しでも朝食に遅れれば怒られる。
それは避けたいので、少しずつでも体を無理に動かして用意に取り掛かってそれでも結局ギリギリセーフで食堂に走っていった。
昨日の夜のこと。
はっきり覚えてるし、思い出すだけで顔が火照る。
でも正直どこか夢みたいな展開で、いまいち実感がない。
……どうしよう本当に夢だったりしたら、恥ずかしい
「ニーニャ、おはよう」
「……あ、アルミンおはよ」
不毛な事を悶々と考えていると、アルミンが朝食を持ってやってきた。
……一応、昨日の関係者のアルミン。聞いて見るのも一つの手かも。
いや、無理だけど。
「ここの席で食べても大丈夫?」
「いいよ。でも、エレン達はいいの?」
アルミンは一人だ。いつもエレンとミカサと三人でいるのに。
不思議に思って質問をするとアルミンは苦笑いをしてこっそり教えてくれた。
「二人の前で昨日の事、聞いてもいいなら呼ぶよ?」
「やめてくださいお気遣いありがとございます!」
アルミンは自分がマルコを呼び出したその後が気になってるらしい。
ずっと、私の相談相手をしてくれてたので当然といえば当然だと思う。気付かない私が鈍いんだ。
「それで、結局あの後どうなったの?」
にっこりと微笑んだあと、そう聞きながらアルミンは正面に腰掛ける。
昨日の夜。
遠回しに気持ちを伝えたら、ちゃんと伝わってて
手を握られて、正面から告白?されて
野次馬がいて、教官に見つかりそうになって……
「……正直、全部夢だったのかもしれない」
アルミンに全部伝えて、私は恥ずかしさで机に突っ伏している。多分、いま顔が赤い。
「大丈夫だよ。少なくとも、ライナー達に見られたのは多分夢じゃないよ。
帰る途中ですれ違ってまさか、と思ってたんだ」
それでも止めてはくれなかったんだね、アルミンは。