夢追い人【進撃】

□10話
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場面は変わって今は外出中。
いつも賑わっている町が今日は一段と騒がしい。それもそのはず。

「来たぞ!調査兵団の主力部隊だ!」

誰かの声がして、歓声が大きくなる。
これから調査兵団が壁外に調査に向かう。丁度、この辺りを通ると聞いて私やエレン達も見に来た。

「エルヴィン団長!!巨人どもを蹴散らして下さい!」

「見ろ!リヴァイ兵士長だ!」
「一人で一個旅団並みの戦力があるってよ」

あちこちからこんな声が飛んでエレンとアルミンはそっちを見たりするけれど、私が見たいのはハンジさんだ。

常識に囚われない発想力と並外れた頭脳。
人とは違う方法で人類に貢献するあの人の魅力が分かる人はあまり聞かないけれど、私は憧れる。

必死に姿を探したけれど、私には見えなかった。ガックリと肩を落として諦める。
見たかったなあ


「……五年前とは全然違うな
調査兵団にこんなに期待する人たちがいる」

少し驚いたようにエレンが呟く。
そのつぶやきに、エレンの後ろにいたハンナが返した。

「みんなの気分が明るくなって来てるんだよ。もう五年も何もないし」

気持ちに余裕が出来つつあるって事だろう。
それはいい事だと思う。

けど、

「固定砲も改良されてるしな。
大型巨人なんて、来ないんじゃないか?」

「だよね!」

フランツとハンナの緩みきった会話にはちょっと顔をしかめてしまう。
五年前、そうやって油断してた所に悲劇は起きたんだから。

軽く注意をしようと口を開きかけたけれど、それより先にエレンが怒り混じりに二人を叱った。

「何腑抜けたこと言ってんだ!このバカ夫婦!!」

エレンらしい言い方だけど、率直過ぎるような……
歯に衣着せないエレンの物言いにアルミンは軽く宥める。

横目にハンナ達を見てみると、二人は頬を赤らめて



え?照れてる?


「そっそんな!お似合い夫婦なんて……!」

「気が早いよエレン!」

二人とも赤くなった顔を逸らしてそんなことを言ってる。

エレンはそんな二人にいっそう苛立ちを見せ、アルミンは「あはは……」と苦笑いを零した。

……都合のいい耳をしてるというか、びっくりするくらいポジティブなのか
なんとも言えず、私も微妙な表情で二人を見つめてしまう。
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