夢追い人【進撃】
□11話
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「あの辺りにはエレンが……」
ミカサがそう呟いて、走り出すのを視線の隅で捉えてようやく我に返った。
「待って!! 」
咄嗟にミカサの腕を捕まえて、叫ぶように言う。
どうにか足は止まってくれた。
けれどミカサは、私の方を向いてそれだけで私の腕を振りほどいてしまえそうな勢いで睨んでくる。
「ミカサ!今は私情のままに動いていい場面じゃない!!」
ミカサが口を開こうとするより先に、アルミンがいつの間にか私のすぐ横に来てミカサを叱った。
「……でもっ!」
「でもじゃないだろ!
僕達は兵士なんだ。
もう既に超大型巨人襲撃時の作戦は始まってる。
すぐにでも出動出来るように準備に取り掛かるべきだって、ミカサだって分かるだろ?」
アルミンを見ながら、ミカサが悔しそうな表情をしている。
でも、すぐに目を逸らして小さく「……分かった」と呟き、私を振りほどいて壁とは反対の方向に歩き始めた。
その後ろをすぐにアルミンと二人で追う。
「先遣班が向かっている筈だし、エレン達もきっと大丈夫だよ」
ミカサの横に行って、慰めにもならないとは思いつつも声をかけたら小さく頷いてくれた。
そうやって会話をしてから、ほんの数十分すら経っていない筈なのにもう随分と前に感じる。
私の班の持ち場は新兵の中なら一番の前線に位置していた。
当然、最初に巨人を見ることになるだろうと思っていたし恐怖だって少なからずあった。
けれど、心の何処かで大丈夫だろうと、この班なら負けないんじゃないかとも思ってた。
……結論から言えば、それはとんだ的外れな考えだった。