ハルと飛ぶ《ミイラ》

□1話
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帰り道。

がさり
と、音がして何気なくそっちを見ると見たことない尻尾みたいなものが揺れていた。

興味本位で、その変な尻尾を引っ張るとその正体は竜でした。多分。


「……えぇ?」

多分、竜。蛇には足生えてない筈だし、トカゲにはたてがみ?なんて無い筈だし。
消去法でいくなら私が今掴んでいるものは竜であっている、筈。

竜なんてファンシーな存在がこの世にいるかは別として。

この竜(仮)は全身ボロボロの満身創痍なのだ。
ハッと、こんな雑に掴んでちゃいけないと思い慌てて胸に抱きかかえる。
動物病院に行くべきかな。

でも、竜は専門外かもしれないし、そもそも遠い。
今から走って行ったらどれくらいかかるか……。

じゃあ?
辺りを見回す。丁度、目の前で目が止まった。

「……あ」

赤い屋根の大きな家。昔何度か来たことがある。ここの家主なら多分、見た事ないこの生き物でも助けようとしてくれる。

それを分かっていて私の足は、それでもなかなか向こうとしなかった。

今更どんな顔して、会えばいいか分からないだけ。
その場で足踏みをしたりウロウロする。こんな気持ち捨てて早く助けてあげたい。でも、でも怖い。

でも、助けたい。

相変わらずバタバタと足踏みをしながらウロウロしつつ、胸に抱いた竜(仮)を見つめ直す。
目を瞑ってるように見える。苦しそうに、見える。傷が痛くて苦しいのかもしれない。

私が躊躇うことでもっと苦しむかもしれない。
その考えがよぎった瞬間、 感じたことのない身震いが全身を渡った。



「――春瀬?」

身震いにやっと家に赴く決心を固めた所で、後ろからの声に素早く振り向くと懐かしい顔が一つ。怪訝そうにこちらを見ていた。

振り向いた私を見て一転、怪訝そうな顔は崩される。
私はそんなに酷い顔をしてるのか。

「お前、」
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