夢追い人【進撃】
□1話
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洗礼が終わり、芋食べて走り込みに行かされた子……確かサシャ一名以外は自由時間に入った。
私を含む数人が外に出てると、丁度サシャがこの辺りを走っていた。
「おい、あの芋女まだ走らされてるぞ」
「すごいな、5時間ぶっ通しか……」
心配半分と呆れ半分で呟くコニーに呆れ全開で返す茶髪の人。この茶髪の人、何も聞かれてなかったから名前が分かんないだよね。私もまだ聞いてないし。
「でも、死ぬ寸前まで走れと命令されたときより飯抜きだって言われた時の方が悲壮な顔してたよな」
その時の顔を思い出したのか、茶髪の人は呆れ顔を深めてコニーは笑ってる。
コニーだって敬礼を間違えて教官にどやされてた癖に……これが喉元過ぎればってやつか。それにしても早いとは思うけど。
「まあ、サシャの食い意地はすごいね……」
「だよな」
あはは、終わったらお水くらいあげようかな。脱水症状にでもなって初日から休んでしまったら大変だし。
ちゃんと夕食まで私が覚えてたら。
「……あ、ねえ、アレって」
崖の上で荷台に積まれ移動する人々を指差して聞く。
「脱落者よ。開拓地の移動を願ったの」
ミーナが後ろから教えてくれた。
でも、たった一日でこんなに……正直ありえない、と思いたいけど。
「そんな、まだ初日なのに…」
アルミンは同じことを思ったのか、私の心を代弁するように呟いた。私はそれに小さく頷く。
「仕方ないさ。力が無いものは去るしかない」
そう呟いた茶髪の人に視線が一気に集まった。茶髪の人は気にせず、荷台に乗る脱落者達に哀れむような表情で見つめている。
「……また石拾いや草むしりがやりたいなんてな」
可哀想な奴らだ。とでも言いそうな顔。
「あれくらいで辞めてしまうなら志願しなければ良かったのにね」
うっかり、茶髪の人に同調したような事が口から出てきてしまう。
こっちにもさっき茶髪の人に向けられたようななんとも言えない視線が向けられた。
「……なんちゃって?」
誤魔化すように口元を笑わせて言って見たけど視線は変わらずコニーから
「笑えねえぞ。お前」
言われるだけだった。
……ですよね