夢追い人【進撃】
□3話
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「空中に浮く時のコツ?」
「ああ。教官に上手いって褒められてただろ? なんかあったら教えてくれ」
明日までにどうにか出来ないなら開拓地行きを言い渡されたエレンは焦って躍起になってるらしい。
「頼む! 」と私に頭を下げるエレン。
「あ、頭なんて下げないでよ」
私も仲間のために出来ることがあるならしたいけど……浮くコツ、かぁ。何かあったかな。うーん
「頭で考え過ぎてると、体が無意識に緊張して力が入るから、意識し過ぎない……とか?」
エレンは「そうか」なんて言ってくれたけど、多分こんな事もう知ってるよね……。申し訳ない。
「……こんな事くらいしか言えなくてごめん。力になれそうな事があったら言ってね。応援してるから」
「いや、いいんだ。ありがとな」
そう言ってエレンはまた別の人に聞きに言った。
……あ、待って。気のせい?
ミカサ、めちゃくちゃこっち見てないかな?というより、睨んでるような……
手を振ってみたけど無視された。悲しい。
結局その後、エレンは何度も挑戦したけれどいい結果は得られなかったらしい。
夕食の時、頭に傷を負って悲壮な顔を見てそう悟った。
無いとは思うけれど、諦めなたりしてないかな。一緒に頑張る仲間が減るのはショックなんだけど……
同じ出身のよしみというヤツか、やっぱり少しエレン達の動向は気になっていたりする。あとで宿舎に戻ったらエレンの進捗状況を聞いてみよう。
「あ、あの、ミカサ!」
それぞれが彼方此方でかたまって喋ってるなか、一人で腹筋を鍛えているミカサに声をかける。
ミカサは腹筋をやめず、けれども多分嫌そうではない声で「何」と返事を返してくれた。
「エレンのことなんだけど明日、どうにかなりそう?……ですか」
エレン、と言った瞬間とんでもない殺気を感じたが押し殺して続けたものの、結局怖くなって最後は敬語になってしまった。
ミカサは体勢を腹筋から腕立て伏せに替えて答える。
「……貴女になんの関係があるの」