夢追い人【進撃】

□4話
2ページ/4ページ

「この話、どこまでも報われないよ」

読者だけが知る主人公の最期の台詞は「星が綺麗ですね」
意味は、私の思いを貴方は知らないでしょうね。

「読んだことがある話なんだ?」

「小さい頃にね。妙に印象に残ってて……昔とは違う視点で読めるから、結末は知ってるはずなのに初めて読んでいるみたいな気分でさ」

私としては、もっと明るい物語が好きなんだけどな。それでもこの話が好きな自分がいる。


「意外だな」

マルコは、自分が読んでた本を閉じて呟いた。
独り言にしては大きめで、誰かに行っているような素振りに感じたので勝手に答える。

「私が、恋愛モノを読むなんて? 」
「そうだね」

即答ですか。私だって一応傷つく事だってあるんだぞ。
ムッとした気持ちは顔に出たらしく、マルコに笑われた。

「はは、もっと言うと悲しい話を読むのが意外だって思ったんだよ」

「あー、それは思った。なんでだろうね? 」

「自分のことだろ、僕に聞かれても」

と言いつつまた笑う。

そんなマルコはどんな本を読むのか。
気になって手元の本を覗こうと身を乗り出すと、私が見るより先にマルコが見せてくれた。

“兵法論・第三の巻”

ちょうど昨日、教官が勧めていた本だ。メモしておいたけどすっかり忘れてた。

「……まじめ」
「アルミンには負けるけどね」

座学トップのアルミンと比べればそりゃね。
私も座学はかなり得意な方だけど、こんなのそうそう読もうとは思わないんだよな。読んだほうがいいのは分かってるつもりなんだけど。

「僕はこういうのが好きなだけだよ」

「私は多分眠くなっちゃうな」
「確かに寝てそう」

「えっ」

また即答。マルコって何気に毒舌なんじゃない?
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ