夢追い人【進撃】
□4話
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「この話、どこまでも報われないよ」
読者だけが知る主人公の最期の台詞は「星が綺麗ですね」
意味は、私の思いを貴方は知らないでしょうね。
「読んだことがある話なんだ?」
「小さい頃にね。妙に印象に残ってて……昔とは違う視点で読めるから、結末は知ってるはずなのに初めて読んでいるみたいな気分でさ」
私としては、もっと明るい物語が好きなんだけどな。それでもこの話が好きな自分がいる。
「意外だな」
マルコは、自分が読んでた本を閉じて呟いた。
独り言にしては大きめで、誰かに行っているような素振りに感じたので勝手に答える。
「私が、恋愛モノを読むなんて? 」
「そうだね」
即答ですか。私だって一応傷つく事だってあるんだぞ。
ムッとした気持ちは顔に出たらしく、マルコに笑われた。
「はは、もっと言うと悲しい話を読むのが意外だって思ったんだよ」
「あー、それは思った。なんでだろうね? 」
「自分のことだろ、僕に聞かれても」
と言いつつまた笑う。
そんなマルコはどんな本を読むのか。
気になって手元の本を覗こうと身を乗り出すと、私が見るより先にマルコが見せてくれた。
“兵法論・第三の巻”
ちょうど昨日、教官が勧めていた本だ。メモしておいたけどすっかり忘れてた。
「……まじめ」
「アルミンには負けるけどね」
座学トップのアルミンと比べればそりゃね。
私も座学はかなり得意な方だけど、こんなのそうそう読もうとは思わないんだよな。読んだほうがいいのは分かってるつもりなんだけど。
「僕はこういうのが好きなだけだよ」
「私は多分眠くなっちゃうな」
「確かに寝てそう」
「えっ」
また即答。マルコって何気に毒舌なんじゃない?