夢追い人【進撃】
□11話
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一斉に飛び掛かって、そのまま一斉に死んだ。
たまたま高所が近くにあって難を逃れた私と、指揮を執る為にあまり巨人に近づかなかった班長のダリウス以外、みんなが喰われている。
「おい!ニーニャ!お前無事か!」
声をかけられた方向に向き、なんとか首を縦に振ってダリウスのいる建物に移動する。
それを見たダリウスは小さく安堵したように息を吐いたけれど、顔は険しいままだった。
かくいう私も彼とそう変わらない表情をきっとしているんだろう。
あまりにもあっけなく仲間が喰われて死んでいくのを目の前にして、平気なわけがない。
今はなんとか立っているものの、気を抜けばそのまま腰が抜けてしまいそうなくらい怯えている。
「これから、どうする?」
声が震えないように意識をしながら、苦しそうな横顔を見せるダリウスに問いかけた。
ここには私とダリウスしかいない。
救助、なんてあまり期待できない。
班のみんなを食った巨人はすぐ近くにいるし、そうじゃなくても見渡す限り巨人が視界に入る状況だ。
一か八かで撤退するのが得策だけれど、問題はルートだ。
それを、どうするか。
私はそのつもりで聞いていた、のに
「……ニーニャは、エレン達の班に合流して撤退しろ」
重々しく口を開いたダリウスから返ってきた返答は全く違うものだった。
「……ぇ」
2人しかいないのに、わざわざ名指しなんだから「一人で行け」ってことだと思う。
でも、
じゃあ、ダリウスは?
真っ先に浮かんだのが最悪な考えで、ただでさえ冷えていた背筋に悪寒が走った。
何も言えなくなった私にダリウスは勝手に話を続けようとする。
「……じゃあ、俺が合図したら」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
慌てて止めた私に嫌そうにダリウスがこちらを見た。
私は、気にせずやっと言葉に変換できた続きを言おうと口を開く。
「ダリウスはどうするの?」
「……」
「勿論いっしょに飛ぶ」とか
「別方向に伝えに行く」とか、
そう言ってくれるのを期待したのに彼は黙った。
これじゃあ、真っ先に浮かんだ最悪の考えが現実味を増してしまうから、黙らないでよ。
「ここに残る
……なんて言いださないでよ」
言うつもりはなかったのに、不安はそのまま口を飛び出していた。
咄嗟に口を塞いでももう遅い。
ダリウスは覚悟を決めたように小さくうなずいた。