story

□あなたのことが好きだよ
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扉が開くとそこには
心配した顔をした彩ちゃんがいた


私は意識とは関係なく
気づけば彩ちゃんの胸に飛び込んで
わんわん子供みたいに泣いていた



もちろんその理由を彩ちゃんが
理解しているわけもなく


そんなの当たり前

だって私自身だって
なんで泣いてるんか
はっきりわかってないねんもん





「なな...??大丈夫?」


「........彩ちゃん」



「ん??怖いことでもあったん?」



私は首を横に振った


「ならどうしたん?言ってみ?」




そんなこと言われて
簡単に気持ちを伝えられたら
どれだけ楽なことか




「今は言いたくないなら
言わないでもいいけど
とりあえず中おいで?」


彩ちゃんは後ろから
私の脇の下に腕を入れて
部屋の中へと私を連れてった




2人でベッドに腰をかけて
必死にわたしのことを
泣き止まそうとする彩ちゃん





「ほら、もう泣かんで?
大丈夫、わたしがおるから」



私が泣き止んでだまりこむ


少しすると彩ちゃんの方が
先に口を開いた




「なな、こっち向いて」


そう言われて顔を上げた



「泣いてる本人目の前にして
こんなこと言うのもなんか違うん
かもしれないけど.......

ななが部屋に来てくれて
ほんまは嬉しかってん」









「ななのこと好きやで」



それって妹として?
メンバーとして?
友達として???


私の中には疑問だらけ
どうしてそんなこと言うん


私の気持ちも知らへんくせに



「彩ちゃん、私って彩ちゃんのなんなん」



一番言いたくないことを
ついつい口にしてしまった


重い女みたいやんこんなこと聞いたら


そう思ったけど

どんどん言葉は溢れていく


今までずっと聞きたくても
我慢してたことが
堰を切ったように溢れ出した



「妹みたいとか思ってんのやろ

でも私は子供やない
そんな風に彩ちゃんのこと思ってない

私の気持ちも知らへんくせに
いっつも優しくしてきて

なんでそんなに勘違いさせんねん」






あからさまにびっくりしたような
顔をして黙り込んだ彩ちゃん







「ごめん」

ふと我に返って突然そんなこと
言ったことを謝った









「...さっきな、ほんまはななに
伝えたいことあって誘ってん


でも、言おうとすると怖くて
いえへんくなって、それでいつもより
気づいたら飲んどった

ださいよなこんなんじゃ

.....女の子として好きやねん」





「.....え..どういう意味?」



「妹とかそういうふうに思ってへん
単純に女の子として好きって意味」




女の子として?
それって恋愛対象として?


ってことでいいんだよね




「ほんま.....?」



「嘘ついてどうすんねん

ずっと一緒におって欲しい
ずっとそばにおらせて欲しい


ななの世界で一番でいたいねん」





「嬉しい.....」



「ほーら!また泣かんでよ!!

ななの気持ち、聞かせてくれへんかな」






「私も..私も好き
ずっとずっと好きやった」


「ほんまに??」


「うん、きっと私の方が好きやで...」




私がそう言った後
彩ちゃんは優しく私を膝の上に乗せた




「なな、世界で一番好きやで」


「私も」





その日は大好きな人の隣で
抱かれたまま朝まで過ごした




この幸せがずっと続きますように



ずっとそばにおってな

大好き。


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