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□大きい背中
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「泣いてるん??!
泣かへんでよ!大丈夫やで!
いっぱいいいとこあるやろ!」


彩さんはしゃがみこむわたしを
優しく優しく抱きしめてくれた



ついついその優しさに甘えてしまう



「気づかれへんこともある
報われへんときだってあんねん
それがこの世界やと思う

でもな、ちゃんと見てる人はいてくれる

わたしやってその1人やで?」




頭をポンポンと叩きながら
彩さんはわたしにそう言ってくれた





「しんどい時はいつでもおいで?
わたしがちゃんと受け止めるから」




なんでこの人はこんなにも寛大なんだろう


自分のことで忙しいはずやのに



5期生のこんなわたしのことなんか
気にしてくれて




彩さんはしばらくわたしを
抱きしめたままでいてくれた








「泣き止んだ??笑

....練習も大事やけどさ
今日は遅いからもう帰ろ?

家まで送ってくから!」



「や!それは悪いです!
まだ電車もあるんで帰れます!」


「こんな時間に可愛い子が1人で危ないやろ?」


「こういう時は素直に甘えなさい」


「.....はい..ありがとうございます」




「よし!
じゃあ帰ろか!!」



そう言ってわたしの手を掴んで
背中を向ける彩さん


その背中は誰よりも大きくて
誰よりもあったかく見えた



わたしもいつかこの人の隣に
並べるようなステキなアイドルになる





彩さん、わたし頑張ります

だから....たまには甘えさせてくださいね


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