逆トリ!逆トリ!!
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とりあえず8人を家に連れてきた。実体化してくれないかな。見えないって結構困る。
家に連れて来る間、1人にずっと手を握られていた。迷子を連れてる気分だ。
手のひらに文字を書かれる。
「みずをください?」
みず、水か。
「みんないる?」
問いかけると、手を強く握られた。
「待ってて、持ってくる。」
コップに水を入れ8人に渡す。
コップが宙を舞い中の水が無くなっていくのはなんだか不思議だ。
すると、
「おい、見ろよ!戻ったぞ!」
「やりましたね!宍戸さん!」
「これで一先ず、安心だな。」
す ご い や つ ら が あ ら わ れ た!
水に魔法でもかかってたのかよ?!
お揃いのジャージを着ているから運動部か何かかな…。
てか、濃い!みんな美形だけど!濃い!キャラが!!
個性強すぎ!
何やかんやあって、お互いの自己紹介をして、今みんなの話を聞いてます。
気付いたら、あの公園にいた事。
他人からは見えなかった事。
氷帝学園のテニス部という事。
など、まあいろいろと。
「それじゃぁ、別の世界?からトリップして来たってことかな?」
「はい。信じられないとは思いますが…。」
問いに答えてくれたのは、部長の跡部くん。
普通は信じられないよね…。普通だったら。
「信じるよ。その事。」
「信じてくれるんですか…?」
「うん。まあ、ここじゃいろいろあるからねー。」
そう。いろいろあるのだ。ここの世界は。
「…ここはね、狭間の世界。他の世界と世界の間にあるの。」
「狭間の世界…ですか?」
「そう。間の何処にも属さない虚像の世界。存在しているけど決して来ることのできない場所。…まぁ、何かをきっかけに迷い込んでしまう人たちもいるみたいだけどね…。」
「待ってくれよ!俺たち帰れないのか?!」
宍戸くんがわたしに向かって戸惑いの色を浮かべながら問う。
「いいえ。帰れるよ。私はその手助けをしているの。だから、大丈夫。」
そうか…。っと、息を吐く。どうやら、安心したようだ。
「……ここが虚像の世界だということは一部の人たちしか知らないの。他言無用でね、お願い。」
「他の人に俺たちの姿は見えへんのやろ?」
「俗に言う一般人には見えない筈よ。…貴方達を認識出来る人たちは、ここが虚像だと知っている人たちだけだから、隠す必要は無いか…。」
「あの…。」
「?どうしたの?跡部くん。」
「大変申し訳ないのですが、その…。」
「あー、うん。言いたい事は分かった。」
流石にね、右も左もわからない人たちを追い出す程私は鬼じゃないよ。
「帰るまでここにいたらいいよ。部屋はたくさん空いてるし。」
「いいんですか?」
「ええ。…でも家事は手伝って。私1人でこなすのは流石大変だから。」
1人で暮らしていたのに急に8人も増えるとなると、流石に辛いぞ。
「勿論です。ありがとうございます。」
こうして、彼らが帰るまで一緒に暮らすことになった。