逆トリ!逆トリ!!

□1
1ページ/1ページ

とりあえず8人を家に連れてきた。実体化してくれないかな。見えないって結構困る。

家に連れて来る間、1人にずっと手を握られていた。迷子を連れてる気分だ。

手のひらに文字を書かれる。

「みずをください?」

みず、水か。

「みんないる?」

問いかけると、手を強く握られた。

「待ってて、持ってくる。」

コップに水を入れ8人に渡す。
コップが宙を舞い中の水が無くなっていくのはなんだか不思議だ。


すると、
「おい、見ろよ!戻ったぞ!」
「やりましたね!宍戸さん!」
「これで一先ず、安心だな。」

す ご い や つ ら が あ ら わ れ た!
水に魔法でもかかってたのかよ?!

お揃いのジャージを着ているから運動部か何かかな…。
てか、濃い!みんな美形だけど!濃い!キャラが!!
個性強すぎ!


何やかんやあって、お互いの自己紹介をして、今みんなの話を聞いてます。

気付いたら、あの公園にいた事。
他人からは見えなかった事。
氷帝学園のテニス部という事。
など、まあいろいろと。

「それじゃぁ、別の世界?からトリップして来たってことかな?」

「はい。信じられないとは思いますが…。」

問いに答えてくれたのは、部長の跡部くん。

普通は信じられないよね…。普通だったら。

「信じるよ。その事。」
「信じてくれるんですか…?」
「うん。まあ、ここじゃいろいろあるからねー。」

そう。いろいろあるのだ。ここの世界は。

「…ここはね、狭間の世界。他の世界と世界の間にあるの。」
「狭間の世界…ですか?」
「そう。間の何処にも属さない虚像の世界。存在しているけど決して来ることのできない場所。…まぁ、何かをきっかけに迷い込んでしまう人たちもいるみたいだけどね…。」
「待ってくれよ!俺たち帰れないのか?!」

宍戸くんがわたしに向かって戸惑いの色を浮かべながら問う。

「いいえ。帰れるよ。私はその手助けをしているの。だから、大丈夫。」

そうか…。っと、息を吐く。どうやら、安心したようだ。

「……ここが虚像の世界だということは一部の人たちしか知らないの。他言無用でね、お願い。」

「他の人に俺たちの姿は見えへんのやろ?」

「俗に言う一般人には見えない筈よ。…貴方達を認識出来る人たちは、ここが虚像だと知っている人たちだけだから、隠す必要は無いか…。」

「あの…。」
「?どうしたの?跡部くん。」
「大変申し訳ないのですが、その…。」
「あー、うん。言いたい事は分かった。」

流石にね、右も左もわからない人たちを追い出す程私は鬼じゃないよ。

「帰るまでここにいたらいいよ。部屋はたくさん空いてるし。」
「いいんですか?」
「ええ。…でも家事は手伝って。私1人でこなすのは流石大変だから。」

1人で暮らしていたのに急に8人も増えるとなると、流石に辛いぞ。

「勿論です。ありがとうございます。」

こうして、彼らが帰るまで一緒に暮らすことになった。
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ