暁のヨナ

□皇女ヨナ
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昔からあの子達は一緒に育ってきた


立場は少しだったりかなりだったりと違ったもの同士だったけど


それでも“幼馴染”であることには変わりなくて


スウォン様のもとへ向かう弟・ハクの表情は年相応のもので姉としても嬉しい事だ


ハクが部屋から去ると残されたのは自分とイル陛下と陛下の政務の手伝いをしているミンスのみだ


イル「さて......イアル。」


イアル「...はい。何でしょう?陛下。」


部屋の空気が変わる


イル「すまないが“急用”が出来た。ヨナの誕生日があと一週間になった今、できる限り早急に対処してほしい。......任せても良いかい?」


陛下の言う“急用”


それは城でも極一部の人間....陛下と自分とミンスしか知らない

謂わば“極秘任務”


イアル「はい、何なりと陛下。」


3年前に弟のハクに将軍の席を譲り軍職を退いたように見せかけ

実のところは各地で起きている小さな争いごとなどを処理している

他国に漏れると厄介なので自分一人でその命を請け負っている



......とは言っても我が弟は勘が鋭い様でここ最近、自分が向かう場所があまり安全ではないと悟ってしまっているみたいで毎度のように心配される


そんなに柔じゃないから大丈夫なのに



自分のその応えに少しだけ顔色を暗くした陛下に不信を抱き思わず聞いてしまった


イアル「陛下?どうかされましたか?」


イル「私は何時もお前にすまないと思っているんだよ、イアル。


......私がもっとしっかりしてさえいれば...

そうすればお前もこんなことをせずに“幸せ”に生きられるというのに...」


イアル「陛下。自分は“あの子達”が笑ってくれる未来が在ればそれで良いのです。




それが自分の“幸せ”なのですから。」




そう


ハクや姫様、スウォン様が笑ってくれるなら


自分は...


例えどんなにこの手を穢そうと


この身がどんなになろうとも


それさえあれば


幸せなんだから
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