暁のヨナ

□自分で決めた
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〜イアルside〜


じっちゃんと杯を交わして数刻の時を過ごした


イアル「さてと....そろそろ行くよ。」


ムンドク「...もう行ってしまうのか。」


イアル「あぁ。夜が明ける前には此処を発つ。そして....貴方に“ソン”の名をお返しいたします。




......ハクとも姉弟の縁を絶ちます。あの子達をお願い致します。」



ムンドク「嫌ぢゃ。



     ...儂はまだ納得しとらんぞ。


     誰が大事な孫の一人を手放すと思っとるんじゃ。」


イアル「じっちゃん...」
 

じっちゃんは目を伏せてそう呟く

自分を心配してくれているのは昔から変わらないなぁ...



....それでも、もう決めたことなんだ


イアル「前風の部族将軍、ソン・イアル、最後の命です。



    “ムンドク殿”。」



ムンドク「.....御意に...




     ....そうじゃった...お前は昔からそういう子じゃったのう...イアルよ。



     ......ちゃんと帰って来い。

     風牙(ここ)がお前の故郷なんじゃからな。

     お前とハクを拾った時から、それは変わらん。


     いかにお前が放浪しようが、罪人となろうが、それだけは儂は譲らんからな。」


イアル「じっちゃん...」


ムンドク「それと...」


イアル「うん?」





ムンドク「旅に出るのなら、伴侶でも捕まえて来い。


     いい加減にせんと儂も気が気でない。

     はやく曾孫の顔でも見せてくれ。」



イアル「じっちゃん、雰囲気ぶち壊してる。
    自分の感動返してほしいよ。」



ムンドク「フン、お前さんが里の男にも、他の男にも好意どころか興味すら示さんからじゃ。



     自分の齢をそろそろ考えろ。」





イアル「えぇー...」



確かにもうそろそろ身を固めないといけない齢だってことは知ってますけどねぇ....




ムンドク「まぁ、それは出来る限りで良い。



     兎に角、また元気な姿で帰って来い。」


 

イアル「....ありがとう、じっちゃん。





    ....否.....



    ....あの子達をお願いします、“ソン・ムンドク殿”。」



そう言い残して部屋を後にする








部屋を出る間際

一瞬だけ見えたじっちゃんの顔







一筋の涙を流しながら静かに自分を見送ってくれた
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