暁のヨナ
□自分で決めた
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〜ハクside〜
ジジイの部屋の前で聞いたのは姐さんの今後の事だった
俺やヨナ姫のために姐さんが一人悪者になるなんて間違ってる
聞いた直ぐ後に俺はその場を静かに離れ、姫さんの元へ向かう
姫さんはテヨン達と何やら話しており、その中に入ろうとは思えなかった
結局一人外で月を眺める
思い出すのは姐さんの言葉
“イアル「どうか、幸せに暮らしてくれ。私はお前と姫様が笑ってくれていればそれだけで十分だから。」”
“イアル「......ハクとも姉弟の縁を絶ちます。あの子達をお願い致します。」”
ハク「....何でなんだよ....姐さん....」
何時もそうだ
どんなに俺が強くなろうが
姐さんは更にその先にいる
それは肉体的な強さでもあり、精神的な強さでもある
それ故に
あの人は何時も俺を置いていく
遠く、遠くへ
本当は解っている
あの人は俺に危険な目に遭ってほしくないと思ってくれているという事に
自分の身一つで守れるものがあるのなら守り通そうとするという事に
誰よりも争いが嫌いだという事に
自分にとって大切な存在が傷つくのを見たくないという事に
あの人はそういう人だ
今回の事も
あの人は“また独りで”解決しようとするのだろう
ハク「......俺はどうするべきなんだろうな。」
そう独り呟いた言葉は夜の静けさに吸い込まれていった