暁のヨナ

□自分で決めた
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〜ハクside〜


悩んだって仕方無い


そう思い向かったのはジジイの部屋



ハク「失礼、長老さま。」


ムンドク「ハクか...何の用じゃ。」


ハク「少し相談事に付き合ってもらおうと思いましてね。

   一杯やりながら。」


ムンドク「...何の相談事じゃ。」


ハク「相談事っつーか、考え事だけどな。」



そう、考え事だ

ジジイの方は大方予測がついてるだろうが



ハク「もしじっちゃんや姐さんがたった独りなら槍一つ掲げて城に乗り込んだんだろーなって。」


ムンドク「小僧が...人の事言えるのか。」


ハク「老体に色々しょいこみ過ぎだろジジイ。」


ムンドク「フン。」



......姐さんの話はしない....か

まぁ、そりゃそうか



ハク「.....頼みがある。
   スウォンの新王即位を承認してくれ。





   俺は明朝、風の部族を去る。」



ムンドク「!!」


ハク「あんたに“ソン”の名をお返しする。





   あんたは風の部族を守ることだけを考えてくれ。
   承認すれば火の部族も手出しはしない。」



ムンドク「......賞金首にされるかもしれんぞ。」


ハク「いいねぇ、高華一の悪党にでもなるか。」


ムンドク「....姫様を置いていく気か?」



ハク「.....よーやく少し笑えるようになってきた。



   連れてきてよかったと思ってる。」



脳裏に浮かぶのはあの夜以来笑わなかった姫さんの笑う顔


ハク「...頼みはもう一つ。







ヨナ姫を城から隠し、一生この風牙の都で風の部族の人間として生かしてやってくれ。」


ムンドク「嫌ぢゃ。」


ハク「ジジイ...」


こっちは頭を下げてまで頼んでいるってのに即答しやがった.....



ムンドク「孫の願い事なんざワシは聞かん。




     ワシは“これ以上”、孫を手放す気はない。」



ハク(“これ以上”...ねぇ...)



ムンドク「...部族長の命なら従わんわけにもいかんが...」」


あぁ、そういうことかよ


ハク「風の部族長、ソン・ハクの最後の命令だ。」



ムンドク「......御意...







......全く...姉弟揃って同じとはのう...」



そう呟いたジジイは涙を一筋流していた



ジジイも本当は俺や姐さんを手放したくなんてない事は解ってる





十五年前、俺と姐さんを拾い、育ててくれた




本当の親のような人だ



ぜってーに本人には言わねぇけど



本当に感謝している



ありがとう、じっちゃん
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