長編小説 Meer

□Meer9話 新しい日常
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〜2015年3月2日〜















「ロッテワールドがいい!!」

「水族館に行ってみたいの!」

「水族館なんて、魚見るだけでしょ?!絶対、遊園地の方が楽しいと思う!」

「魚だけじゃなくて、ペンギンとかもいるんだよ?!」

「アトラクション乗って、遊んだ方がいいじゃん!」

「生き物ともふれあえるんだって!!」

「せっかくの春休みなんだから、体動かして遊ぶ方がぜっーたい!楽しい!」



明日から春休み。と言うことで、スングァンとハンソル、チャンの3人は、どこに行くかでもめていた。といっても、ハンソルはそこにいるだけで揉めているのは、スングァンとチャンのふたりであった。








事の発端は、スニョンの一言だった。


「どこか行きたいとこない?ヒョンが連れて行ってあげるよ!」

遊び盛りの末っ子達は、いままではできなかったことをここぞとばかりに、やってみたい!と言った。




「もう、そんなに喧嘩するなって。じゃんけんして、勝った人が譲ってあげることにしよう。」

「なんでそうなるんですか??!普通、負けた人が譲るでしょ!」


見かねたスニョンが出した提案に、スングァンがかみつく。





まあまあ、とスングァンをなだめながら、結局、ハンソルも行きたいと言ったロッテワールドに行くことになった。





























〜2015年3月6日〜



今日は、末っ子3人と、スニョンの4人でロッテワールドに行く日だ。



最初は乗り気じゃなかったチャンも、今となっては、リュックの中の荷物を何回もチェックし、調べていたアトラクションのあれに乗ってみたい、あのパレードを見てみたい、と食卓でチョコフレークを食べているジフンに話していた。ジフンは、まだ眠いのか気のない返事をしているが、そんなことはお構いなしに、目をきらきらさせて話し続けていた。






そんなチャンの姿をソクミンは呆れて見ていた。




(ここに強引に連れてこられてまだ1ヶ月なのに...)





弟達3人は、ソクミン達が敵としてみていた彼らに懐いていた。

ソクミン達を出迎えた彼らは、ソクミン達のやっていたことを咎めるわけでもなく、危害を加えるわけでもなく、まるで今まで一緒に暮らしていたかのように、生活を始めたのだった。




・・・・・ あの家にはもう戻れないから。そういったジスの言葉に、こいつらは自分たちを殺すのだ、そう思ったのだが、翌朝、ジスはソクミン達を連れて、あの古いアパート行くと30分以内に必要なものをまとめて。そう言って、姿を消した。


そのとき逃げることはできたが、ソクミンは素直に荷物を詰めた。
詰め終わって、顔を上げるとジスが立っていた。


大家さんには、引っ越す、て話をしてきたから。

そういうと、ジスは、持ちきれずに床に置かれたままの荷物を担ぐと、早く行くよ、と声をかけた。 ・・・・・








(でもなぁ、警戒心なさ過ぎるよなー・・あいつら。)



ソクミンは心の中で、小さくため息をついた。





「ほら、次ソクミンの番だよ。」



チェスのボードを挟んで座っているジスが、ソクミンを促した。





(まぁ、そういう自分も、ジスヒョンと普通にチェスしてるし。。)



ソクミンは、手元の白い駒を動かした。



































〜2015年3月5日〜







パアァアアンッ!!!



銃口からでた弾丸は、的の真ん中を突き刺した。



「さすが。飲み込みが早いね。」




もう教えることは何もなさそう。ジョンハンは銃を置いて隣に腰掛けたウォヌに言った。



「まだまだですよ。ジョンハニヒョンの足下にも及びません。」


ウォヌは、謙遜の気持ちからではなく、素直にそう思った。





「あたりまえじゃん。俺より上手になられたら俺の立場がない。」





ジョンハンは笑った。



きっとこの人には一生勝てないんだろうな。

ウォヌはそう思った。




今は現場に出ることはほとんどないが、それにもかかわらず、ウォヌに射撃を教えるときにはなった弾はすべて、真ん中に的中していた。座ったまま、片手で撃ったにもかかわらず。






そういえば、とウォヌはつぶやく。


「聞きましたか?明日、スニョンが下3人を連れて、遊びに出かけるって。」

「あぁ、きいたきいた。おまえは行かなくていいの?」

ジョンハンは、面白そうに笑ってウォヌを見た。

ウォヌは冗談じゃない、と言うように顔をしかめた。


「あんなとこ言っても疲れるだけですって。」


「まあ、そうかもしれないけど。あの子達、だいぶんうちに馴染んできたみたいだね」



よかった、とジョンハンは微笑んだ。
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