あるある

□監禁
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「ここから出して」





暗闇の向こうから歩み寄ってくる足音に、恐怖に、下唇を噛んで耐える。
向こうが誰なのかはわからない。
私は壁に背中をつけ、深い呼吸を何度も繰り返す。





「ねぇ、聞いてるの」





ふいに、足音が止む。
私は顔を上げ、目を凝らす。
カーキ色のズボン。
黒いブーツ。
私はこの服装に見覚えがあった。





「…やぁ、久しぶりだネ。まぁ、次会うときも久しぶりになりそうなんだけどネ」





是清くん。
闇の中から現れたのは、彼。
手には白銀のナイフが握られていた。
その手を見て、
ああ、私は死ぬのか。
嫌だ、まだ、死にたくない。
その二つの想いが交錯して混ざりあい、脳内でぐちゃぐちゃに濁っていく。





「私、こ、ころす…の?」






その言葉に彼はニヤリと目を歪める。






「察しがよくて助かるナ。そう、ボクは君を殺すんダ」






「え…」





目の前が暗くなる。
あの絶望的な恋愛バラエティで一緒に頑張った是清くん。
無表情ながらも私の作ったお菓子に喜んでくれた是清くん。
あの、是清くんは、どこへいったの?






「…また、暫くお別れだネ」






ふぉっ…

ナイフが風を切り、私のお腹にーーーーーー…


次の瞬間には、もう、彼は見えなくなっていた。
































「…って、夢を見たんだ。そしたらねぇ、お腹の上に夢野ちゃんのっててさぁ!寝相ってすごいよねぇ」





「うん、よくわからないけど君がボクをめちゃくちゃ信用してないのはよくわかったヨ」













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