短編

□夢の夢の、そのまた夢の
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※ヤンデレ注意

※性行為に関することやグロを軽く連想させるような描写有
















朝が来た。
とても清々しい朝だ。
ー…なんてそんな定型文が通じないような暗闇のなかで目が覚める。
今は朝、それとも夜だろうか。
黒のなかではなにもわからない。
しばらくそこでボーッとしていると、古めかしい音をたててドアが開いた。
とはいっても、その音が本当にドアの音なのかどうかは今の私に確認するすべなどないが、
なんとなぁく、そう思うことにしている。









「おはよう。調子はどうッスか?」











あぁ、彼の声だ。
天海蘭太郎、私の世話をしてくれる男性。
軽い靴音が聞こえて、やがてそれは私のすぐ側で止まった。









「お腹すいたッスよね。今日も残さず食べるッスよ」











カチャカチャと食器同士が擦れあう音と、温かい食事のいいにおい。
今日はカボチャのスープだろうか。
ほんのりと甘いにおいが漂ってくる。












「はい、あーん」













口の前に差し出されたスプーン(だと思われる)にがぶりつき、温かいサラダを咀嚼する。
舌の上でちょうどいい具合に茹でられたキャベツが絶妙な甘さを残してとけていく。
蘭太郎くんの作るご飯はとても美味しい。
最初こそこの行為に全力で抵抗していたが、もう今ではすっかり慣れてしまった。
次から次へと口内に運び込まれてくるものを全て平らげると、彼は満足そうに私の頭を撫でた。











「偉いッスよ。……っと、そういや着替えがまだだったッスね」













食器を片付けると蘭太郎くんは私の服のボタンを一つ一つ丁寧にはずし始めた。
ぷち、ぷち、ぷち…
静かな部屋にボタンの外れる音が響く。













「…何ッスか?」










私のズボンに手をかけられたところで、私は彼の腕を握る。
やっぱりどうしても、それだけには抵抗が残っている。
彼はしばらく制止した後、私から手をはなす。
それから今度は私の後頭部と腰に手をまわした。
温かい。
そして、冷たい。















「さよは欲張りッスね。朝っぱらからそんなことがしたいんッスか?」











耳元でそんなことを囁く。
違う、違うんだよ。
私はそんなことして欲しいんじゃないんだ。
天海くんは、おかしい。
だけど私はそれに気がつくのが遅すぎた。
目と声を失ってからようやく気がついたのだ。















「どうしてほしいッスか?キス?そうッスよね。俺もしたいッス」














唇に柔らかいものが触れ、中にぬるりとした生暖かいものが侵入してくる。
優しさは次第に消え乱暴に口内をまさぐられる。
私が求めたのは何だっけ。
こんな未来だったっけ。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、私の体はベットに沈んでいった。





















       
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