短編

□きみのあしをたべた
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「天海くん、あし、いたい」







彼女が白い頬に涙を滑らせながら座り込んでいた。
真っ白なスカートに隠れた白い足。
その見事なまでの純白の中に、真っ赤な液体が彼女を汚していく。
近くには靴が転がっていた。
昨日俺が彼女にプレゼントしたもので、そっと中を覗くと、暗闇の中でギラギラと幾つもの何かが白銀に輝いていた。
そのひとつを取り出してみる。
…剃刀だ。








「痛かったッスね。足、動かせるッスか?」








「う、ごかない、いたい、いたい…」









俺の手を握って、甘えてるのかとも思ったけれど、その大粒の涙でそんな想像はかき消された。
まだ、彼女の足には大きな剃刀が深々と刺さっていた。

ありがとう、神様。
希望ヶ峰学園には超高校級の幸運、なんてのもいるらしいけど、
ぶっちゃけ俺にも才能があるのではとすら思ってしまう。
そっと彼女の頭を撫でて、見えないように少しだけ笑んだ。













































彼女の誕生日に贈る靴に大量の剃刀や裁縫針を仕込んだ。
多分、いや、これをはいたら最後、絶対に立つことは出来ない。
だからこそ、さよにあげたい。
はいてほしい。
足を食い潰されて立てなくなった君が寄りかかるのは、俺だけでいい。
それで彼女を誰にも見えないとこに縛って隠して閉じ込める。








「…あぁ、待ち遠しい」









プレゼントの箱をそっと撫でて、そのまま眠りについた。











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