短編

□Happy Day...?
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…今日はハロウィン。
そう、全人類地球上のありとあらゆる者が奮起し目をこうこうとさせる日なのだ。
いや、させるべき、日なのに…。



「…最原くんと楓ちゃんにしか貰えなかった…」




いや、厳密にはもっと多くの人からプレゼントを貰ったのだ。
だけどこのプレゼントたちを果たしてハロウィンの収穫物と見なしてよいのだろうか?



「あーおいしそー!いただきまーす!!」



その声とともに、白い腕がニュッと横からのびてきて、
楓ちゃんから貰ったブラウニーが視界の端に消えていく。
いや、視界の端なんて、そんなやわなもんじゃない。




「あああああああ!!それ私のぉ!!」





ブラウニーの消えた方を振り向くが、時すでに遅し。




「ご馳走さま、さよちゃん」




ブラウニーはすでに王馬小吉のお腹の中へと消えていった後だった。
それだけなら、それだけなのならまぁ、許そう。
だが目の前のちびっこは私のブラウニーを無断で食べたのにも関わらず、
今度は最原くんから貰ったお煎餅まで狙っているのだ。




「だめ!!っていうかトリックアトリート!よくも私のお菓子を食べたな!!」




「さよちゃん、トリックアトリートは威嚇の言葉じゃないよ〜?病院いく?」




「余計なお世話!」




王馬小吉はしばらく私を見つめたあと、大きなため息をついた。
ほら、お菓子持っていないんじゃないか。
こうなったらこいつの部屋の中荒らして黒歴史を発掘してやる…。




「はい」




「は?」




王馬小吉の手の上には、小さな苺飴がのっていた。
私はその可愛らしい飴が王馬小吉の所有物だったことが信じられなくて、彼と、彼の手を素早く見比べる。
が、事実は揺るがない。




「…ありがと」





飴を受け取り、楓ちゃんのお菓子が入っていた袋に突っ込む。
当然袋はすかすかだったから苛立ったままでいたけど。





「はい、じゃあさよちゃん、トリックアトリート」





「はい?なにいってんの?私のブラウニー食べたでしょ?」





「あれは赤松ちゃんのブラウニー。それは俺の飴。…さよちゃんのはぁ?」






ジリジリと迫り来る王馬小吉。
渡せるお菓子は残念ながら持ち合わせていない。






その後、さよを見たものはいたとかいなかったとか。







ーーーー貰ったものリストーーーーーー

東条斬美→かぼちゃの煮付け
塩→怪しげな儀式の小道具
天海蘭太郎→どこぞの外国のたっかい土産(もちろん返した)











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