毒舌ナルト(女) 忍法帖!!

□チームワークは皆無
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ちゅんちゅん
「……ん、……」
カーテンの隙間から漏れる光がナルトを照らす。その眩しさに薄く目を開ける。二度寝しようか…とも思ったが、今日は大事な下忍説明会。寝坊だけは避けたい(毎回寝坊で遅刻している)。
仕方なく起き上がりカーテンを開く。朝日がナルトを目一杯照らす。ナルトの紅い髪が光に照らされキラキラと輝く。瞳は光の加減でいつもよりも深く、余計に藍色にも見える。
ナルトはあくびをしながら着替えようと引き出しを開ける。黒のパーカーと白の七分丈のズボンに着替え、台所に立つ。今日は時間に余裕があるので多少ゆっくりしても大丈夫だろう。
朝食を済ませた後、額当てを緩く首に掛ける。鏡で確認した後、フードを深く被って靴を履いて家を出る。鍵を閉めたのを確認してアカデミーに向かった。

カラカラ
教室に入って適当な席に座る。しばらくボ〜ッとしていると、キバから話し掛けられた。
「ナルト!お前も合格したのか」
「当たり前でしょ。寧ろ合格出来ない方が可笑しいって」
「確かに」
キバと会話をしていると
スパァーンッ‼
『!?』
勢いよく教室の扉が開き、そこから薄い金髪をした少女と桃色の髪をした少女が同時に入ってくる。
「はぁ…はぁ…わ、私の方が先に入ったわ」
「何言ってんのよ…私の方が先だったんですけど」
「はぁ?」
「何よ?」
『…』
二人の間に火花が散る。
『ふんっ!!』
二人はしばらく睨み合っていたが、やがてそっぽを向く。
「ちょっとナルト!そこどいて!!私はサスケ君の隣に座りたいの!!」
桃色の少女がナルトに怒鳴る。
「…人にものを頼む時の態度くらいわきまえて欲しい。もしかして、そんな事も知らないの?」
「ッ!!あんたこそどけって言ってるの!!言葉も分からない訳?!」
「その言葉、そっくりそのまま貴方に返す。私は貴方に『人にものを頼む時の態度を考えて』って言ってるの。これ、すごく簡単な事だし、誰でも知ってる常識だよ?」
「〜ッ!!」
ナルトの言葉に少女は押し黙る。だってナルトの言っていることは正論なので言い返す事が出来ない。
「おはよ〜ナルト」
「…おはよう、イノ」
桃色の少女を押し退けてナルトに挨拶する、薄い金髪の少女…イノ。
「ねぇナルト。私もそっちに座りたいんだけど…」
「…別に適当に座っただけだから良いけど」
「あ〜…違う違う!サクラにその席譲って良いから、何処か別の場所で一緒に座らない?」
「……まぁ…良いけど…」
「やった!じゃあ、あっちにしよ!」
「わかったから引っ張らないで…」
イノはナルトを引っ張って別の席に移動する。ナルトは文句を言いながらも大人しく引っ張られる。それを見ていた桃色の少女…サクラは、不満げに顔を顰めて呟いた。
「…なんなのよ…」
が、サスケを見て上機嫌に隣に座った。

ナルトはイルカの話を聞きながらあくびを溢す。
「ふぁぁ…。(今日の晩御飯と明日の朝御飯は何にしようかな…)」
訂正、話を聞いているようで聞いていなかった。
「任務は三人一組のスリーマンセルで行う。班は力のバランスが均等になるようこっちで決めさせてもらった。じゃあ発表するぞ?第一班は…」
と、班が発表されていき…
「第七班!渦巻ナルト、春野サクラ…うちはサスケ!」
「しゃーんなろー!!」
サクラが嬉しさのあまり叫ぶ。だがイノは逆に顔を顰め、机を叩いて怒鳴る。
「その班分けは可笑しいと思います!成績学年トップのナルトに成績優秀なサクラ、ナンバーワンルーキーのサスケ君じゃあ偏りすぎで均等ではないと思います!」
確かに、と皆(特に女子)が頷く。
「でもな?火影様がお決めになったから変更は出来ない」
「くッ!!」
「残念ね〜?イノブタ♪」
「調子乗ってんじゃないわよ!!こんのデコリンがぁ〜!!」
「静かにッ!!第八班は犬塚キバ、日向ヒナタ、油女シノ!」
「ちぇ、ナルトとは別か…」
「…だ、大丈夫かな…」
「……」
「…第十班は山中イノ、奈良シカマル、秋道チョウジ!」
「あ〜!!ムカつくぅ〜!!」
「…めんどくせぇ」
「お腹空いたなぁ」
こんな感じで班発表は終わった。

「…〜ッおっそぉぉぉい!!!」
「うるさい」
叫ぶサクラにナルトが言う。
「ナルトは何も思わない訳ッ!?一時間よ?!一時間!!こんなに待たされて何も思わない方が可笑しいわよ!」
「…まぁ退屈だけど叫ぶ程では…ないと思う」
「アンタは可笑しいのよ!!」
「……」
サクラを相手にする事がめんどくさくなったのか無言になるナルト。サスケも無言だが眉間に皺が寄っている。
「…はぁ。まぁ、平気でこんなに遅れて来る人なんて珍しいけど…流石に遅いから…。これくらいは受けてもらわないと」
「…?何すんのよ?」
「ん?悪戯」
そう言ってナルトはニヤリと嗤う。サクラはその笑みを見て、まだ見ぬ担当上忍を憐れんだ。
ナルトは黒板消しを手に取り、チョークで全面に塗る。色が混ざり合ってそれはそれはカラフルな仕上がりだ。それを扉に挟み、終了。他にも何かしていたが、サクラは目を逸らした。
数分後。
タッタッタッタッ…
足音が近づく。三人は扉に注目する。
カラカラ
ポフン!
カタッ(黒板消しが床に落ちる音)
「いやぁごめんごめ…ズドガガァ––––ンッ!!!!
『……』
絶句する二人。そんな二人をよそにナルトはふむふむと頷く。
「な、何が…起こったの…?」
「何って…粉塵爆発だけど」
『粉塵爆発!?』
「そ」
ナルトは特に慌てた様子もなく頷く。 上忍の頭に黒板消しが落ちると、必然的に粉が舞い上がる。そして黒板消しが床に落ちる時、糸に当たるよう細工しておいて、黒板消しが糸に当たると糸を伝って一瞬だけ火が上がるようこれまた細工しておいたのだ。あとは火が粉について連鎖で爆発…つまり粉塵爆発が起きればなぁ、とナルトは考えていた。全て思い通りにいって良かったなぁとナルトは思った。アカデミーの教室は更地になっているが。
「お、オマエらネ…。まぁ後々説教するとして……屋上へ来い」
『……』
担当上忍と思われる銀髪の覆面をした長身の男に言われ、怪しいと思いながらも屋上へ向かう三人であった。
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