毒舌ナルト(女) 忍法帖!!

□中忍選抜試験!!〜会場に着くのにも一苦労!〜
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「…ん?ふぁ〜…もう朝か…」
ナルトはカーテンの隙間から漏れる陽の光に目を細めながらそう呟く。
寝巻き代わりの水色の浴衣を脱いでいつもの服に着替える。
「……朝はパン♪パンパパン♪」
と、ナルトは某有名なパンのCMの歌を歌いながらパンをレンジに入れ、その間に目玉焼きを作る。
「…ん、牛乳…」
背が小さいことを意外にも気にしているので、毎朝の牛乳は欠かさない。完成した半熟目玉焼きを皿に乗せ、冷蔵庫から牛乳パックを取り出してテーブルに置く。
「…あ、焼けた」
焼けたパンにハムと目玉焼きを乗せ、最後にコップに牛乳を注ぐ。
牛乳を冷蔵庫にしまうと席に着く。
「…いただきます」
律儀に手を合わせて合掌すると、小さくパンに齧り付く。

もぐもぐ…

そうして無言のまま最後まで完食すると、牛乳を飲む。
「…ふぅ。ご馳走様でした」
と、これまた律儀に手を合わせて合掌し、皿とコップを洗う。
「…まだ時間あるな…ま、いっか」
と、額当てを首に下げ、組紐を手に巻くと玄関で靴を履く。

ガチャ

「…行ってきます」

パタン

鍵を閉めたのを確認し、今日の集合場所へ歩く。大分時間に余裕があるのでゆっくりでも間に合うだろう。

ヒソヒソ コソコソ

商店街に差し掛かると、里人からはナルトの陰口があからさまに聞こえてくる。しかしナルトの表情は変わらず、歩く速度にも変化はない。
と。
「あ、ナルトー!」
「…春野」
サクラが手を振ってわざわざ此方へ駆け寄ってくる。
「珍しく早いわね」
「…なんか目が覚めた」
「いつもそうなら良いのに…;まぁカカシ先生よりはマシだから良いわ。遅刻はしてないし。(ギリギリに来るのはどうかと思うけど)」
「…ゼンショシマス」
「明らかな棒読みはやめなさい」
「ハーイ(笑)」
「…無表情なのに何故か語尾に(笑)がついていると分かる自分が嫌だ…」
と、コントのような会話をしていると集合場所に着く。
それからほどなくしてサスケも合流したので、三人で他愛もない話をして待つこと二時間。
「いやぁ〜ごめんごめん。黒猫が前を通り過ぎt…「それで?今回の任務は?」…せめて最後まで言わせ…」
『あ?』
「ナンデモゴサイマセン」
『フン』
三人(特にナルトの無表情)の恐ろしさにビビるカカシ。完全に立場が逆である。
「それで?今日の任務はなんですか?」
「あぁ、今日は任務じゃないよ」
『は?』
「…任務じゃない…?…!まさか…」
「ん?ナルトは知ってるかな?そう、“中忍選抜試験”だよ」
「はいこれ。まわして」と渡された小さい紙…志願書をカカシから受け取り、サクラは二人にまわす。
「…中忍選抜試験…」
「そ。お前ら推薦しちゃったから。とは言っても参加は自由。受けたい奴だけそれを持ってアカデミーに行け」
そう言われ、三人の視線が交差する。
「…念のため聞くけど、二人は受ける?」
「当たり前よ!」
「あぁ。お前はどうなんだ?」
「私も勿論受けるよ。じゃあ、お互い頑張ろうか」
『えぇ(あぁ)!!』
初めの頃では考えられない程良くなったチームワーク。それを見ていたカカシはフッと微笑む。
「じゃ、これにて解散。じゃあね〜」

ドロン!

「あぁ〜!もう、カカシ先生ったら、すぐ消えるんだから!」
サクラは消えたカカシに文句を垂れる。それをまぁまぁと宥め、ナルトは明日の中忍選抜試験に、嫌な予感を感じずにはいられなかった。

※砂の下忍とかのくだりはカットします!でもあったことにするので、見たい方は原作を見て下さい!

〜当日、アカデミー前〜
「…いよいよね」
ナルトは、珍しくポニーテールにした(それでも腰まである)紅く長い髪を風で揺らしながらそう呟く。
中忍試験ということもあり、いつものニート服ではなく濃紺のコートのような服(下は黒の半袖)に動きやすさを重視して白の半ズボンだ。
「あぁ」
「…まぁ楽勝でしょ」
『ナルトが居るからね(な)』
「……期待しない方が良いよ///」
「あら?そう言いつつも顔赤いわよ?」(クスクス)
「〜〜ッ!///早く行くよ!!///」
「クスクス。はぁ〜い!」
と、仲の良いくだりは置いといて。
アカデミーへ入る。

しばらく歩いていくと、なにやら人だかりができていた。
「…?なにかしら?(それにこれ…)」
「……行ってみよう(…恐らくうちは達も気付いてるだろうな)」
「あぁ(……)」
ナルト達が人だかりに近づくと、緑の変わったスーツを着たおかっぱ頭の下忍らしき少年が丁度殴られているところだった。

ドカッ!!

「ぐっ…!」ドサッ!
倒れそうになったおかっぱの少年をチームメイトらしき二つ結びをした桃色の服のくノ一が咄嗟に受け止める。
「ふぅ〜ん?そんなんで試験受けようっての?」
「やめた方が良いんじゃない?君たち」
「ケツの青いガキがよぉ…!」
そう言って見下してくる二人の下忍らしき少年たち。
「お願いですからそこを通して下さい」
そう訴えながら二人に近づくくノ一。しかし。

パシンッ!!

「ゔッ…!?」
先程同様殴られはしなかったが、強い平手打ちを受け、おかっぱの少年の隣に尻餅をつく。
それを見ていた大勢のうちの誰かが
「ひっでぇ…」
と思わず呟く。その呟きを聞き逃さなかった二人は、代わる代わる中忍試験について説明し始めた。
「なんだって?いいか?これは俺たちの“優しさ”だぜ?中忍試験は難関だ」
「この試験を受けたばっかりに、忍を辞めていく者、再起不能になった者を、俺たちは何度も目にしてきた…」
ナルトたちは人の間を上手く通り、一番前まで行く。
「それに、中忍って言ったら部隊の隊長レベルよ!部下の失敗、部下の死亡、それら全て、隊長の責任なんだ!それをこんなガキが…!」
「どっちみち受からない者を、ここで篩にかけてなにが悪い?」
「確かに、貴方達の言うことは正論。でも、私たちは通してもらえる?そして、この幻術で出来た結果をとっとと解いてもらえる?

私たちは三階に用があるから」
ナルトの最後の一言に周りの者たちが騒ぐ。
「何言ってんだ、あいつ?」
「さぁ…?」
しかし、二人の少年は面白そうにナルトを見た。
「ほう?気付いたのか、貴様」
「…まぁ、私よりも春野、貴方の方が先に気付いたんじゃない?」
「…え…」
「春野の分析力と幻術のノウハウは、私たちの班で一番伸びてるからね」
ナルトは背後のサクラを元気付けるように言う。
ナルトは気付いていた。
志願書を渡された日、サクラは一見自信満々のように振舞っていたが、本当はとても不安だったことに。
サクラも、ナルトの励ましを正確に読み取り、不安の渦が無くなるのを感じた。
「…ナルト…。ありがとう…。
…えぇ!勿論、とっくに気付いてるわよ!だってここは…“二階”じゃない!」
サクラが自信満々にそう宣言すると、【301】と書かれたプレートが、【201】に変わった。
「ふぅん?なかなかやるねぇ…。でも、見破っただけじゃあ…ねぇ?」
一人の少年が言葉を切ると同時に蹴りを放つ。ナルトは受け止めるのも面倒臭く、そのまま受けようとした、その時だった。

ガッ!!

『!』
「…!」
先程殴られていたおかっぱの少年が、蹴りを片手だけで受け止めたのだ。
「(早い…!この人、さっきまで殴られていた人とは別人だわ…!!)」
サクラが心の中で驚愕する。
「おい、約束が違うじゃないか。下手に注目されて警戒されたくないと言ったのはお前だぞ」
おかっぱの少年にそう言いながら近づいたチームメイトらしき下忍の少年。その少年の瞳は瞳孔と黒目の部分の見分けがつかない白い瞳をしていた。
「だって…」
「うぉぉぉ…!」と、顔をほんのり赤く染めながら桃色の髪の少女(サクラ)と話す紅いストレートの髪を高い位置に結わえた髪型の少女(ナルト)に熱い視線を送るおかっぱの少年に、くノ一と白い瞳の少年は呆れる。
おかっぱの少年は何を決意したのか、思い切って少女…ナルトに近づく。
「僕の名前はロック・リー。ナルトさんと言うんですね!」
「……え、あ、はい…?」
「僕とお付き合いしましょう!死ぬまで貴方を守りますから!」
「…(お付き合い?どこにどこまで付き合うんだろ?それにもうすぐ試験始まるし…うーん…)」
《ナルト》
ナルトが別の意味で断るべきか否か悩んでいると、九喇嘛が助け舟を出してくれた。
「(九喇嘛?)」
《取り敢えず“すみませんが他の方をあたってください”つっとけ》
「(え?でも…)」
《いいから!(ナルトは鈍感で天然で無知過ぎる…。今時“告白”の意味をあんな風に捉える者などおらんぞ…)》
「(…ハイハイ)…すみませんが、他の方をあたってください」
「……」ガーン…
何故“お付き合い”を断ったくらいで落ち込むのかナルトは不思議に思ったが、聞いても答えてくれないだろうと思い、無視した。
と。
「おい、そこのお前」
「?」
白い瞳の少年がナルトに話しかけてきた。
「名乗れ」
「…貴方に名乗る義理はないと思いますけど。それに、“名を聞く時は自分から”という常識を知らないのですか?」
「お前ルーキーだな?歳はいくつだ」
「…答える義務はないですね。常識をもう少し勉強してきてはいかがですか?」
「なんだと…?」
「(ふふっ。可愛い♡)」
くノ一の熱い視線に気付かず、もう用はないとばかりにネジに背を向け、窓に手をついてガッカリしているリーも無視し、二人のところへ戻る。
「さ!ナルト!サスケ君!行くわよ!」
二人は、先程ナルトにより元気を取り戻したサクラのあとに続いて歩いていく。



「あれがカカシとガイの秘蔵っ子っていうガキたちか…。ま、取り敢えず志願書提出は通過ってとこだな」
「あぁ」
扉の隙間から二つの班のことを観察していたあの(幻術結界で全員を篩にかけていた)二人の少年は、印を結んで変化を解く。
すると、煙から出てきたのは現役の上忍のイズモとコタツであった。



「さ!ナルト!サスケ君!行くわよ!」
「…引っ張らないで、春野…」
サクラに引っ張られながら歩くナルト達–––正確にはナルトとサスケ–––の背中をジッと見つめるネジ。
「(ナルトとサスケ…うずまきナルトとうちはサスケか…?)」
「…気になるの?あの子のこと」
「……フン」
「…ふふっ」
ネジはくノ一の問いに一つ笑うことで返事をして先に行く。それに続いてくノ一も歩き出すが、リーが来ないことに気付き、振り向いて名を呼ぶ。
「リー、何してるの?早く行くわよ!」
「君たちは先に行っててくれ。僕にはちょっと、確かめたいことがある」
そう言い残して行ってしまったリーに、首を傾げるくノ一。
「……何なの?」
「俺が知るか」
と、リーの言う通り301の教室へ先に向かうチームメイトたちであった。
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