毒舌ナルト(女) 忍法帖!!

□中忍試験!!〜対戦相手は機械任せ!第三次試験、予選試合開始!!〜
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ナルト達第七班も含めた第二次試験の合格者は、現在大きな広間へ集められ、第三次試験の説明を受けていた。
今回の試験では、甘かったのか、はたまた受験者達が優秀すぎたのか、合格者が予想以上に多かった為、規定に基づいて急遽予選が行われる事になった。
第二次試験で疲れ果てている受験者達は不満を口にするが、本線では他里の、しかもお偉いさん方が観戦に来る。そんな中ダラダラとひとつひとつの試合に多くの時間は掛けられない。
よって試合回数や時間短縮の為にも、本戦出場者を減らす必要があった。
「(…ここでは完全な個人戦。しかも対戦相手は同他里関係ない、完全ランダム。…出来れば木の葉の忍には当たりたくない…)」
説明を聞きながらナルトは内心そう思う。
「あぁ、言い忘れてましたが…これからは“個人戦”ですからね。自分自身の判断で、ご自由に手を挙げて下さい」
「(って言われてもねぇ…そんなに辞退する奴なんて居ないと思うけど)」
と、ナルトが内心で呟いた、その時だった。

クラッ

「ッ!!?」
ナルトの視界が一瞬歪み、後にやってくる、まるで平衡感覚を失ったかのように感じる程の目眩と、頭を鈍器で殴られているかのような酷い頭痛。
恐らく、呪印を無理矢理解術したせいだろう。
「ナルト…?」
「(これが相応の負担、か…。やっぱり1日は休んだ方が良かったかな。これはちょっと…正直、キツい…)」
ナルトはグッと力を込めて拳を握ることで必死に耐える。
そんなナルトの様子に、耐えられなくなったサクラは、小声でナルトに声を掛けた。
「ナルト…!この予選、やめた方が良いわ…!!」
サクラの声と言葉に、何事かと前に居たサスケが振り向く。が、サクラは構わずナルトに訴えかける。
「ね…?体、辛いんでしょ?お願い…お願いだから……やめて…?」
「…ッ…」
クラクラガンガンする頭を片手で押さえながら、ナルトは涙まで流すサクラをただジッと見つめる。
その様子を火影と試験管達が見ていた。
「(ナルトか…)」
「体調不良でしょうか…?」
「うぅむ…」
「確か、うちはサスケも七班でしたよね?」
「うむ」
「…ッ!?も、もしや、うちはサスケにではなく、うずまきナルトにッ!?」
「やもしれん…」
アンコの言葉に火影は厳しい顔つきをしながら頷く。
「だとしたら彼女は試験から下ろし、暗部の護衛を付けて隔離すべきです。即刻辞退して…」
「そう素直に言う事を聞くタマでも無いでしょ、アイツは」
火影に辞退させるよう訴えていたアンコの言葉を遮り、カカシが言う。
「なんせ、アイツはああ見えて、大の負けず嫌いですから」
アンコから言わせれば、呑気とも(呪印を)舐めているとも取れるカカシの言葉に、アンコは感情を抑えきれずにカカシを怒鳴った。
「何バカな事言ってるの!!力づくでもやめさせるわ!!チャクラを練りこんだだけでも呪印が反応して、無理に力を引き出そうとするのよ!?術者の体を蝕む…禁術なの…」
アンコは自分の首筋を服の上から押さえる。
「…あの子が耐えているのが不思議よ…。本当ならもう…死んでるわ。……火影様ッ!!」
アンコは苦しそうに真っ青な顔をしたナルトを見つめた後、火影に指示を仰ぐ。火影は黙ってナルトを見つめた。

「今のナルトは、戦える状態じゃないわ!」
「…勝手に決めないでくれない?」
「ッ…ナルトがなんと言おうと私、試験中に起きた事、先生達に言うわ!そうすれば…」
そう言って手を挙げようとするサクラだったが、サクラよりも先にカブトが手を挙げたことに驚き、思わず挙げ掛けていた手を下ろしてしまった。
「あのー…僕はやめておきます」
カブトは苦笑しながら辞退を宣言する。
「えーっと…ゴホッ、木の葉の…薬師カブトさんですね…。では、下がって良いですよ」
「はい」
そう言って出口に向かって歩いて行くカブトを、ナルトは目を細めて見つめていた。

「何度か見る顔じゃな…。確か、前回も本戦の時に途中棄権しとったと思うが…一体何を考えておるんじゃ…」
「アンコ」
火影の意図を読み取ったイビキが、素早くアンコに呼び掛ける。アンコもイビキに声を掛けられ、するべき事を察知した。
「えっと…」
アンコが手に持っていたこれまでの数々の資料をめくる。
「薬師カブト…データでは6回連続で不合格です」
「どういう経歴じゃ?」
「アカデミー時代からあまり目立つ生徒ではなく、成績も平凡。3度目にして漸く卒業試験に合格。以後、こなした任務はCランク2回、Dランク14回…とりたてて目立ったところはありませんね。…ただ…」
「ただ?」
「アカデミー以前の話なんですが…」
「ん?」
「覚えておられますか?あの、桔梗峠の戦いで連れ帰られた、1人の少年の話を」
「覚えておる。確か、戦場で生き残っていた敵の少年を医療部隊の上忍が引き取ったという話じゃったな。奴がその子という訳か」

火影がアンコと会話をしている間、カブトと黒い布とサングラスで顔を隠した男とで怪しい会話があった。
「勝手な行動を取るな…“大蛇丸様”の“命令”を、忘れたのか…!」
何やら憤怒しているらしい男に、カブトは怖がるどころか、逆に挑発するように話しかけた。
「あんた達に任せるよ。…特にヨロイさん、アンタの能力があれば、ここは問題無いはず…ここは力の見せどころですよ?最近僕に先を越されて苛立っている、アンタのね」
「フン、大蛇丸様のお気に入りか。図に乗るな、ガキが」
「分かりましたよ、先輩」
カブトは態とらしくそう言った後、にこりと笑って下忍達に手を振り、今度こそ背を向けて会場から出て行った。
「ゴホッ、辞退者はもう、居ませんね…?」
ハヤテの言葉に、呆然としていたサクラはハッと我に返る。
「(試験中にあった事、先生達に言わないと…!)」
内心でそう呟きながら手を挙げようとするサクラだったが、その手はパシリとナルトに掴まれたことによって遮られた。
「ッ!?」
「別に、これくらいなんとも、ない…。だから、黙ってて」
「…ッ」
ナルトの態度と言葉に、再びサクラの瞳が潤み始める。
「どうして…どうしてそう強がるのよ!ずっと苦しんでるナルトなんか、もう見たくない!私にはナルトが…」
「…春野には関係ないでしょ!」
「ッ…!?」
「!!」
ナルトの言葉に、サクラとサスケは目を見開いた。
「…こんなもの、少し経てば治る」
そう言って、ナルトは前を向いてしまった。

「…大蛇丸の言ったことも気にかかる。…ナルトはこのままやらせ、様子を見ていく」
「なッ!?火影様ッ!?」
「ただし。呪印が開き、少しでも力が暴走したら、止めに入れ」
「ですが…ッ!!」
「よいな」
「ッ…分かり、ました」
火影の命令に、アンコは渋々と言った様子で従った。
「えーでは、これより予選を始めます。これからの予選は1対1の個人戦。つまり、実戦形式の対戦とさせていただきます。丁度20名になったので、合計十回戦行い、その勝者が、第三試験本戦に進出できます。
ルールは一切無しです。どちらか一方が“死ぬ”か“倒れる”か。或いは“負けを認める”かまで戦ってもらいます。死にたくなければすぐに負けを認めて下さい。
ただし、勝負がはっきりついたと私が判断した場合、ゴホッ、無闇に死体を増やしたくないので、止めに入ります。
では、これから君達の命運を握るのは…」
そこでハヤテが一旦言葉を切り、アンコに視線を送る。アンコはハヤテの意思を汲み取り、ひとつ頷くと、壁に向かって「開け」と言った。すると、後方の石板がゆっくりと開く。
「…これですね」
そこから現れたのは…
「えーこの“電光掲示板”に一回戦ごとランダムに選出された対戦者を2名ずつ表示します。
…では早速ですが、第一回戦の2名を発表します」

ピロピロピロピロピロ…ピーッ。

【赤胴ヨロイ】VS【うちはサスケ】

「では、掲示板に表示された2名、前へ」
ハヤテに促されるがままに、前へ出て向き合う2人。
「第一回戦の対戦者は、赤胴ヨロイ、うちはサスケに決定。異論はありませんね?」
『はい(あぁ)』
ハヤテの問いに頷く2人。
「えー、ではこれから、第一回戦を開始しますね。対戦者2名を除く皆さん方は、上の方に移動して下さい」
下に並んでいたナルトを含む受験者達は、ハヤテの指示に従って階段を上がり、それぞれ見えやすい位置に移動する。シカマルはさり気なくナルトの隣に移動した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「勝者、うちはサスケ!」

ワァァァ––––––––!!!

勝者の名前に、会場全体が湧き上がる。ナルトはボロボロな様子のサスケを見て、先程の試合を脳裏に思い浮かべた。
試合開始早々、サスケはヨロイによって追い詰めらていた。サスケより素早い動きで動く上、チャクラを吸い取るとても厄介な能力を持っていた為、死の森での戦いが響いているサスケはすぐに捕まった。ヨロイによって無遠慮にチャクラを吸い込まれ、段々衰弱していくサスケだったが、なんとかヨロイの拘束を振りほどいたサスケは、リーの体術の一部をコピーした、“獅子連弾”を使用し、ギリギリのところで勝利を手にした。
「俺たちはここまでだな…」
先程の戦闘を脳裏に浮かべていたナルトは、シカマルの呟きに瞑っていた目を開いてシカマルを見た。
「そんなことないよ。シカマルなら本戦までいけるって」
「ンなわけ…」
「私もいくから、一緒にいこ、ね?約束だよ。破ったら二度と口利かないから」
「…頑張りマス(ナルトの奴は平気な顔してこういうこと言うからなぁ…)//」
ナルトの言葉に少し頬を赤らめながらシカマルは内心で溜息を吐くのだった。
「す、すごい…」
「けッ、(ナルトに比べたら)大したことねぇよ」
班で固まって試合を観戦していた八班。その内の1人であるヒナタが、思わず、といった様子で呟いた言葉に、キバは内心で言葉を付け足しながら馬鹿にしたように返した。
「(流石うちは…素晴らしいわ…)」
一方で、少し離れた場所にて試合を観戦していた、上忍に化けた大蛇丸は、恍惚の表情を浮かべ、舌舐めずりをする。それを偶然にも見てしまったナルトは、唯でさえ悪かった体調が更に悪化したのを感じた。
「(ゔぇぇ…気持ち悪い…。寒気がしてきた…何で見ちゃったんだよ、自分)」
ナルトはくらくらする頭を右手で押さえながら、左手で右腕をさする。
「ナルト?大丈夫か?顔色悪りぃぞ?」
顔色の悪いナルトに気付いたシカマルが心配げに問い掛ける。
「あー…大丈夫…」
シカマルは納得していないようで、怪訝な顔つきでナルトを見つめていたが、何も言ってこないナルトに渋々引き下がった。

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ナルトの体調は悪化する一方で、試合の方は順調に進んでいった。

第二回戦、油女シノVSザク・アブミ
勝者、油女シノ

第三回戦、つるぎミスミVSカンクロウ
勝者、カンクロウ

第四回戦、春野サクラVS山中イノ
引き分けにより勝者無し

第五回戦、テンテンVSテマリ
勝者、テマリ

第六回戦、奈良シカマルVSキン・ツチ
勝者、奈良シカマル

そして、遂にその時はやってきた。

ピロピロピロピロピロ…ピーッ。

【うずまきナルト】VS【犬塚キバ】

『!?』
「(うわ、マジかめんどくせー。キバの奴…御愁傷様だな)」
電光掲示板に表示された名前を見て、指名された2人は同時に苦い表情をする。シカマルは内心でキバに両手を合わせた。

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