毒舌ナルト(女) 忍法帖!!

□チームワークは皆無
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翌朝。ナルトは集合時間を一時間三十分オーバーして集合場所に行った。理由?いつもの如く寝坊である。
「…!ナルト!!遅いわよッ!初日から遅刻?全く、この班には私とサスケ君以外は遅刻魔なのかしらね!なんか言ったら?」
サクラがナルトに嫌味を言う。だがナルトはそんな嫌味を物ともせず、無表情のまま、簡潔に言った。
「寝坊した。ごめん」
『……』
あまりにもバッサリした言葉に二人共絶句する。そんな二人を無視して近くの木陰で持参してきた忍術書を読む。こんな感じで二時間後。
「いやぁ〜ごめんごめん。おばあさんの荷物を持ってあげてい「そんな事より今日やる演習の説明をして下さい」…最後まで聞いてくれても…」
「そんな下らない嘘、聞くだけ時間の無駄です」
上忍相手に容赦なく毒を吐くナルトにカカシの顔が引き攣る。対してナルトは無表情だ。気をとり直し、カカシは目覚ましをセットした。
「十二時セット完了!」
「?何するの?」
『……』
「ここに二つ鈴がある。この鈴を昼までに俺から奪い取る事が今日の課題だ。もし昼までに俺から鈴を奪い取る事が出来なかったら罰として丸太に縛り付けたうえに俺が目の前で弁当食うから」
『(そういうことだったのか…)』
「?何でそんなにお腹空いてるの?」
「はぁ?朝ご飯抜いたからに決まってんでしょ?」
「何で?」
「何でって…先生に言われたじゃない!」
「え?そうなの?聞いてなかったから食べて来ちゃった」
「なッ…!ズルイ!」
「そんな事言われても…」
「こほんッ!」
『……』
強制的に会話を終了させてカカシは説明を続ける。
「鈴は一人一つで良い。鈴は二つしかないから必然的に一人は丸太行きになる。鈴を取れなかった奴は…ま、任務失敗って事で失格。つまり、最低でも一人はアカデミーに逆戻りって訳だ。手裏剣使ってもいいぞ。俺を殺すつもりで来ないと取れないからな」
「(鈴は二つ。対して私たちは三人。鈴は一人一つ…いや、違う。先生は“一人一つで良い”と言った。という事は必ずしも一人一つという訳ではない。…最低でも一人はアカデミーに逆戻り…ん?可笑しい…任務は原則スリーマンセルが基本な筈。最低でも一人落ちたらその時点でこの班での任務は不可能。なのにわざわざ仲間割れを引き起こすような試験内容?……!まさか…これはチームワークを試す試験?!…まぁ考えてみれば上忍相手に新米下忍が勝てる訳がないか)…一つ質問いいですか?」
「ん?何だ?」
「“私たち”が取れればいいんですよね?」
「!(コイツ…)そうだ。他に質問はあるか?」
「でも先生!危ないわよ!」
「…春野、忍びに危ないもくそもない。それに相手は上忍。私達相手に危ない何て感じないと思う」
「……」
「…もういいな?じゃあよーいスタートの合図で始める。よーい…スタート!」
シュンッ!!
カカシの合図で三人の姿が掻き消える。
「忍たる者、基本は気配を消し隠れるべし」
静寂の中カカシはそう呟きながら辺りの気配を探った。

「(さて。まずは二人を説得しないと。でも協力してくれる確率は極めて低いと思うんだよなぁ…二人の性格上。まぁ、やれるだけやろう。最近じぃちゃんに無理を言って教えてもらった術がまさか早々に役に立つとはね…。影分身の術!)」
実体を持たない分身を作る“分身の術”ではなく、自分のチャクラを分ける事で実体を持つ分身を作る“影分身の術”を使って二人、影分身を呼び出し、二人の所へ向かわせる。影分身の術は、影分身が消えるとその影分身の記憶や経験が本体に還元される。なので便利だ。
「(…!あー…やっぱりダメか…)」
影分身の記憶が還元され、予想通りの事にナルトは溜息をつく。そんな時。
「きゃあああ–––––ッ!!」
「…(春野の声…大方幻術にでも掛けられたんでしょ。さて…私はどうしようか…)」
ナルトはとりあえず音を立てずにゆっくり歩きながら思考を巡らす。が。
ブンッ!
ナルトは勢いよく回し蹴りを放ち、何もない空間に話し掛ける。
「…そこにいるんでしょう?」
「あらら。バレてた?」
「わざと気配を漏らしていた癖に…」
「まぁね。でもこれでも少ししか漏らしてなかったんだけど」
カカシの言葉を無視してナルトは話す。
「…この試験、チームワークを試すモノだと私は思いました。どうですか?」
「………」
「………」
「…正解だ。何故わかった?」
「一つ。鈴は一人一つと断言せず、“で良い”と曖昧にした事。
二つ。私が任務は原則スリーマンセルで行うと聞いていた事。
三つ。わざわざ仲間割れを“引き起こす”ような試験内容。
…基本はスリーマンセル、上忍を入れてフォーマンセルで任務を遂行するのに、最低でも一人は脱落する試験内容と貴方の鈴に関する言葉の2つの違和感…それが、私が答えを出すきっかけになりました」
「そうか(何て聡い奴だ…そこまで察する事のできる奴なんて稀にしかいないぞ…)」
内心ナルトの頭の良さに驚愕しながら演習場で待っているよう指示した。
ジリリリリ!
目覚ましが鳴る。演習終了の合図だ。
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