毒舌ナルト(女) 忍法帖!!

□中忍試験!!〜いきなり難関!?第1次試験開始!!〜
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カチッ カチッ カチッ カチッ

「よし!これから、第十問目を出題する!」
「(……あ?もう終わっ…なんか生徒の数減ってるな…。ルーキーは…全員居るね)」
ナルトは伏せていた顔を上げ、若干ぼぅっとしている頭を少し左右に振りながら心の中でそう呟き、イビキの声に耳を傾けた。
「が、その前にひとつ、ちょっとしたルールを追加させてもらう」
イビキがそう言った時だった。

ガチャリ

「(…あれは…。確かカンクロウ、とか呼ばれてたっけ?)」
監視官と共にカンクロウが教室に入ってきた。
「…強運だな。お人形遊びが無駄にならなくて良かったな」
「……ッ!!」
「まぁいい、座れ」
イビキの言葉に、カンクロウは内心ドキリとしながらも指示に従って席に座った。
「では説明しよう。これは、絶望的なルールだ」
イビキの言葉に、教室全体に緊張が走った。
「まずお前たちには、この十問目を受けるか受けないかを選択してもらう」
「選ぶって…もし受けなかったらどうなるの!?」
追加されたルールにテマリが混乱しながら問う。
「受けないを選べばその時点でその者の持ち点はゼロになる。つまり失格。同班の者も道連れ失格になる」

ザワザワ!

イビキの説明にさらに混乱する受験者たち。「そんなの受けるを選ぶに決まってるだろー!」という声がどこからか上がったのを聞いたイビキは、騒ぐ者たちをよそに口を開いた。
「そして、もうひとつ」
「(まだあるの!?いい加減にして…)」
イビキの話に耳を傾けていたサクラはげんなりする。
「受けるを選び、正解出来なかった場合。その者については…























今後、永久に中忍試験受験資格を剥奪する」

『!!?』

イビキの言葉に受験者たちが一斉に驚愕したのをナルトは感じ
「(…成る程ね。度胸試し的な感じかな?でもこれ、皆にはちょっとキツイかもね…)」
と、心の中で呟いた。
現に、隣のヒナタは手を挙げる一歩手前だ。
と。
「お、おれは、受けない!」
1人の受験生が立ち上がって宣言した。
「○○番失格!!△△番、◇◇番も道連れ失格!!」
「すまない…」
これをキッカケに、次々と“受けない”を選択する者が出てきた。
「(これじゃあ下手したら1桁しか残らないかも…。うーん……ん?)」
ナルト次々と失格者が出ることに、ナルトはこの連鎖を止める方法を考えるが、ふと、視界にヒナタが映った。
そう、手を挙げようと浮かせたヒナタが。

パシッ!

咄嗟にナルトはヒナタの腕を掴み、それを阻止した。
「!?ナ、ナルトちゃん?」
「…あっ…。えっと…」
阻止したはいいものの、なにも考えずに止めてしまったので、少し気まずい。
何か話さなくては、と、ナルトが言葉をまとめていると、ヒナタが口を開いた。
「…私なんかが居ても、迷惑になっちゃうし…。私のせいでキバ君やシノ君が失格になるくらいなら、いっそ受けない方が…「バカじゃないの?」…え?」
ヒナタの弱気な発言に、周りの視線も御構い無しに、ナルトはヒナタに説教を始めた。
「“迷惑になる”?アンタがここで“受けない”を選べば、キバも油女もここで“道連れ”失格になる。キバや油女は“受けたい”からここに来ているんだよ?なのに道連れ失格なんて、最悪だよ?」
「…っ」
「ヒナタ。忍の世界は常に戦場。任務を遂行するにあたって、いつも死と隣り合わせ。任務を選り好みすることはもちろん出来ない。その中で、例え、己の命を…仲間の命を、危険に晒してでも、成功するという希望を持って任務を遂行する勇気…強い意思。それが、隊長格である中忍に求められるモノ」
「……」
「ヒナタ。アンタは…この試験から…逃げるの?アンタの意思は、そんなに弱いの?」
「…!…ありがとう、ナルトちゃん。私、受けるよ!」
「…それでこそ、ヒナタだよ」
ヒナタの白い瞳に、先程とは違う、強い意思が宿ったことを確認し、満足気に微笑むナルト。
一方で、ナルトの言葉は、やり取りを聞いていた受験者たちにも響いていた。
イビキは、室内の雰囲気、そして、受験者たちの顔付きが変わったのを感じた。
「もう、居ないのか?」
イビキの問い掛けに、受験者たちは沈黙を保つ。
「(これ以上粘っても無駄か…)」
イビキは心の中でそう呟き
「…では…ここに残った全員に、第一の試験合格を申し渡す!」
と、声高々に“合格”を宣言した。
「…ちょ、ちょっと待った!まだ10問目が出されてないじゃないか!なのに合格って…どういうことだ?!」
意味が分からない受験者達が、イビキに質問を浴びせる。
そんな受験者たちにイビキは説明した。

この最後の選択こそが言ってみれば10門目の問題であった。
“受けるか” “受けないか”という二択の問題。
仲間を犠牲にして自己保身に走るか、難解な問題にチャレンジして忍としての人生を棒に振るか。
とてつもないプレッシャーをかけ、それを乗り越える強い意思を持てるか。
中忍となり部隊長になった時、窮地を乗り切る強い心を持てるかを確認するのが、10問目の選択問題である。
それらを乗り越えて来た者を、合格者とするのがこの試験だった。
「……」
イビキの、壮大な話に暫し言葉を失う受験者たち。
その時だった。

パリーンッ!!

『!?』

カッカッ!

黒い布に包まれたナニカが窓ガラスを突き破って室内に入ってくる。そして、室内に入った途端、そのナニカは布の端を結んだクナイを天井に突き刺し、己を包んでいた大きな布を広げた。
布には

《第2試験官みたらしアンコ見参!!》

と、達筆な字でデカデカと書かれており、その布の真ん前に、1人のくノ一が立っていた。布にくるまって登場して来た者だ。
「アンタ達!!喜んでる場合じゃあないわよ!!私は第2試験官、みたらしアンコ。次行くわよ、次ぃ!!付いてらっしゃい!!」
空気を読まずに声を張り上げた第2試験官…アンコは、布の後ろからにょきっと出てきたイビキに“空気を読め”と言われ、赤面する。
「(なんか…馬鹿っぽいわね、この試験官)」
サクラは失礼な感想を抱いた。
「78人?イビキ、26チームも残したの?今回の第1試験、甘かったのね!」
「今回は優秀そうなのが多くてな」
「ふん!まぁいいわ…。次の第2の試験で…半分以下にしてやるわ…」
「!?は、半分以下に…してやる…!?」
アンコの物騒な言葉にサクラは顔を引攣らせる。
「あー…ゾクゾクするわぁ…。
詳しい説明は明日、場所を移してやるから、集合場所、時間などは各々の担当の先生に聞いておくように!
以上、解散!」

「…嫌な予感がする…」
ナルトは、賑やかになる室内で、胸騒ぎを感じていた。

––––––––まるで、ナニカ、大事なモノを“喪う”ような、そんな予感を。


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