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□光の射すトコロ
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箱根学園 自転車競技部は全国屈指の名門で部員数も多くマネージャーの仕事は予想以上にハードなのだった。
今年入った女子マネージャーの5名も次々と辞めていき、まだ6月だというのに気づけばゆうこ1人だけになってしまっていた。
自転車競技部に誘ってくれた友人のアキでさえも、高校3年間雑用で終えるのは嫌だと言い放ち辞めてしまったのだ。
「あのブラック部活続けるなんて相当だよね。ゆうこは可愛いんだから彼氏作って遊べばいいのに。」
昼休み
アキを含めたいつもの4人でご飯を食べている。
「ひと通り仕事も覚えたことだし、しばらく頑張ってみるよ。‥新開さんもいるし。」
「新開さんかぁ。確かにあの人はかっこいいよね。」
友人達はニヤニヤとしている。
ロードレースに関してど素人のゆうこが、こんな大変な部活を辞めようと思わなかったのは、好きな人がいるからに他ならない。
彼の名前は3年生エーススプリンターの新開隼人。
同じく3年生エースクライマー東堂尽ハ程ではないにしろ新開にはファンが沢山いるのだ。
同じ部内にいてもほとんど話せないのだが、練習中もついつい目で追ってしまう。
少しでも彼の近くで応援できたらそれでいいとゆうこは思っていた。