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□男のロマン ka
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男のロマン
「昔さ、浴衣はエロスとか聞いたことあったんだよね」
「なにそれ」
何時もは大抵の話題にノッてくれるあろまだが、脊髄反射会話すぎて理解できないのか首をかしげて次いでに眉間にシワを寄せいている。
「袷開いたら脱がさずヤれるし裾から手入れて痴漢擬きとか、あ、袷から手入れんのもいいか。まぁ普通に考えて外出るにしても襦袢と浴衣の二枚だけとか装備薄すぎだし、寝るときなんて浴衣一枚で襲ってくれっていってるようなもんでしょ」
「さすが下半身マスター、考えることが違うわぁ」
スッゲー軽蔑したわ俺。と心底冷たい声で吐き捨てられるが、けらけらと笑う。
「その軽蔑した男に押し倒されてるあろまちゃんは好き者でちゅねー」
「死ねハゲ!」
ズザっと後ずさりしたあろまに手は出さない。とばかりに手をあげると、ほっとした表情を見せるのも何となく面白い。
大概冷静なこいつが此方の一言二言で持ち前の冷静さを簡単に崩す様を見るのは楽しい。
序でに男のロマンを理解しているのだから、時々は実行に移してくれるともっと嬉しい。
ニヤニヤと自分でもわかるほどニヤついていると、胡乱そうな恋人が何かいう前に細い腕を引いて抱き締めて耳元に唇を寄せる。
「今度、温泉旅行行こうか」
ベッドの上でしか出さない声で意図的に囁けば一気に視界に映る恋人の首筋が真っ赤になり、顔も多分赤いのだろうな。という予想が容易にできて多少ムラっと来たが理性でねじ伏せる。
ここで襲えば男のロマンは夢のまた夢である。
「い、く…」
密着してなければわからないくらいの小さな声に返すように更に腕の力を込めて抱き締める。
さて、言質は取った。
旅館という第三者が大量にいる場所で無茶は早々起こそうとは思わないが、色々やれることはあるのだ。
ニヤニヤとあろまからは見えないことを良いことに、己の妄想に浸って暫く戻りそうにない脳みそ内は不埒な男のロマンで埋め尽くされていた。


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